[I-P-032] 完全大血管転位症Mustard術後のSVC buffle狭窄に対して、Stent-graftを使用した一例
キーワード:TGA, Mustard, stent
【背景・目的】完全大血管転位(TGA)のMustard術後のSVC Buffle 狭窄の頻度は5 - 40 %と報告されている。同部位に対してBare Metal Stentの報告は多数認められるが、Stent-graftを用いた治療は報告は少ない。今回私たちはTGAのMustard術後のSVC buffle狭窄に対してStent-graftを留置したので報告する。【症例】40歳、男性。TGA(2)と診断され、生後6ヶ月でMustard手術を施行した。25歳時、SVC側のBullfeの閉塞を認め、症状なく経過観察していたが、31歳時に感染性心内膜炎に対する再手術を施行し、同時にBuffle拡大術を施行した。術後SVCは平均圧5mmHgと改善を認めたが、39歳時には平均圧18 mmHg、LA-SVCの引き抜き圧較差は5 mmHgへと悪化を認めた。狭窄は2ケ所認め、肺動脈に押されるようにしてSVC上部に一ヶ所、Buffleにもう一ヶ所認めた。Buffleの狭窄に対してバルーン拡張術を施行したが、recoilし無効であったため、Stent留置術の方針となり、Excluder leg 16mm×10mm×7cmを留置した。術後SVCの平均圧は8 mmHg、LA-SVCの圧較差は0 mmHgと改善、また肺静脈の狭窄も認めず。現在術後2ヶ月を経過したが合併症は認めていない。【考察・結論】Bare Metal Stentでは内膜の増殖による最狭窄の危惧があり、拍動する心内に留置するにあたりmigrationも心配される。Self ExpandableなCovered StentはBuffle狭窄により適切と考え選択した。日本には現在使用できる適切なサイズのCovered Stentがなく、Stent-graftを使用した。今後のフォローアップの継続と症例を重ねる必要があると考えられる。