[I-P-037] 心外導管を用いた手術後の心房細動に対して下大静脈-右房間自己組織穿刺後に経皮的カテーテル肺静脈隔離術を行った症例の検討
Keywords:Fontan手術, 心房細動, カテーテルアブレーション
【背景】発作性または持続性心房細動(AF)はFontan型手術後遠隔期症例に合併する上室性頻拍の一つであり,Fontan型手術症例の予後を悪化させる因子の一つである。近年,術後遠隔期上室性頻拍の合併率が低い心外導管を用いたFontan手術(TCPC)を受ける症例が増えている。このような症例に人工血管穿刺を行い心房内リエントリ性心拍や心房頻拍の経皮的カテーテル心筋症灼術を行ったいくつかの報告はある。しかし,複数カテーテルを心房に挿入する必要があるAFに対する経皮的カテーテル肺静脈隔離術(PVI)の報告は少ない。【症例1】33歳の男性。出生後にTA(Ib)と診断され,新生児期に左BTシャント,その後にBjork型Fontan手術を受けた。28歳頃から薬剤抵抗性発作性AFがあり,Maze手術とone and one-half repairを受けた。【症例2】34歳の男性。出生後にTA(Ib)と診断され,2歳時にFontan(APC)手術を受けた。28歳頃から薬剤抵抗性発作性AFがあり,Maze手術とFontan(TCPC conversion)を受けた。【結果】2症例とも手術後にAFが再発したため,当センターに紹介となり経皮的カテーテル肺静脈隔離を受けた。造影CT検査でともにIVC-RA自由壁間に穿刺可能な部位が存在しているのが確認できた。両症例ともRF Needleを用いてIVC-RA自由壁間を穿刺して,同小穿孔にガイドワイヤを挿入してCutting balloonを用いて穿孔を拡大して,3本のロングシースを通過させた。RA経由でLA内にカテーテルを挿入してPVIとGP ablation,その後にRA mappingを行った。2例とも合併症なくAFの根治に成功し,現在のところ洞調律を維持している。【まとめ】心外導管を用いた手術後AFに経皮的カテーテルPVIを行うには,肺静脈心房に複数カテーテルを留置する必要があるが,下大静脈-右房間自己組織穿刺法を用いた経皮的カテーテルPVIは比較的安全で確実な治療オプションになりうると考える。