[I-P-040] 繰り返すけいれん発作を契機に診断に至った特発性QT延長症候群の幼児例
Keywords:QT延長症候群, 乳幼児, けいれん発作
【緒言】一過性の意識消失発作、けいれん発作は、不整脈が原因の場合がある。中でもQT延長症候群(LQTS)による不整脈は致死的となる危険があり注意を必要とする。今回、意識消失発作とけいれん発作を繰り返してんかんと診断されていたが、けいれん発作後の心電図モニターでQT延長・心室頻拍を認め、LQTSの診断に至った症例を経験した。自験例のLQTSと合わせて報告する。【症例】5歳、女児。既往歴:熱性けいれん。家族歴:てんかん・心疾患・突然死なし。現病歴:3歳から睡眠中、起床時の全身性強直性けいれんが頻回にみられた。5歳1ヶ月時に、精査目的にて当院紹介受診。脳波検査を施行したが、異常所見は得られず。その後も同様の発作を頻回に認めた。5歳9ヶ月時、けいれん発作あり、精査目的にて入院。入院後、けいれん発作あり、モニター心電図上、約10秒の心Torsades de pointes(TdP)を認めた。心電図検査にてQTc 0.57sec とQT延長を認め、Schwartzの診断基準6点で、LQTSと診断した。発作時の現病歴から、入眠中や起床時より、type2を疑い、Propranolol, Mexiletineを開始。発作なく経過し、第18病日退院となった。退院後、遺伝子検査施行し、KCNH2遺伝子の変異を認めLQTS typeIIと判明した。【考案】現在当院でフォローしているLQTS7例(男児:女児=3:4)の発見の契機は小学校心臓検診3名、意識消失発作は2名、胎児不整脈が1名、LQTS患者の家族内検索での発見例が1名。意識消失発作の症例は、15歳と今症例の2例で、小学校未満健診前に診断に至った症例は胎児不整脈例と今症例の2例であった。自験例で乳幼児期に診断に至った症例は本症例のみで乳幼児期での診断が難しいことがうかがえる。LQTSはイベント前に診断することが重要であり、学校検診前の乳幼児のLQTSを的確に抽出する体制構築が必要と思われる。繰り返すけいれんを認める乳幼児に対し心電図を必ず施行すれば乳幼児期の診断例は増えるかもしれない。