第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-08 電気生理学・不整脈

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遺伝性不整脈

Thu. Jul 16, 2015 5:26 PM - 6:02 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:後藤 浩子 (岐阜県総合医療センター)

I-P-039~I-P-044

[I-P-041] 2度目の失神後の発作間欠期に脳波異常を認め、局在関連てんかんの合併が疑われた家族性QT延長症候群の1例

佐藤 工1, 佐藤 啓1, 高橋 徹2 (1.国立弘前病院 小児科, 2.弘前大学医学部 小児科)

Keywords:QT延長症候群, 失神, 脳波異常

【はじめに】QT延長症候群(LQTS)に脳波異常やてんかんを伴う症例の存在が知られており、チャネルパチーとしての相同性が推測されている。今回我々は、遺伝子検査でLQT1と診断後に2度の失神歴を有するもTorsade de Pointes (TdP)は同定されず、2度目の失神後の発作間欠期に脳波異常を認め、局在関連てんかんの合併が疑われた家族性LQTSの1男児例について報告する。【症例】7歳、男児。小学校1年時の学校心臓検診でECG上QT延長(LQT)を指摘された。2歳上の姉もLQTを指摘されていたことから遺伝子検査を施行したところ、姉弟ともにKCNQ1ミスセンス変異を認めLQT1と診断した。トレッドミル運動負荷試験で安静時QTc (B)=0.49秒から最大運動負荷時0.55秒と延長したため、運動制限とβ遮断薬を開始した。以後、心血管イベントなく経過していたが、10歳 (小4) と12歳 (中1) 時ともに就眠時に異様な呻き声を発し、家人が駆けつけると顔面蒼白で呼名に反応しなかった。救急隊到着時には意識状態はほぼ正常化しており、搬送時のECGも特段の変化はみられなかった。1度目の失神後の脳波は異常なかったが、2度目の失神後の脳波で左側中側頭領域にspikeを認めた。2度の失神歴ともに意識回復は比較的速やかで、回復後のバイタル、ECG所見に変化がなかったことから、てんかん発作の可能性が高いと考えられた。中学校入学の際には、1度目の失神歴に関して児が希望する運動部への入部を憂慮する教師らと複数回の面談を要した。現在は、両親と相談の上で抗てんかん薬は開始せずに、運動制限とβ遮断薬で経過観察中である。【結語】失神発作時のTdPが同定されないLQTS症例に対して、脳波異常の有無を明確にすることは過剰な薬物療法や過度の運動制限を抑制し、患者サイドに立ったtailor-madeの管理方針を構築する一助になる。