[I-P-043] QT延長症候群の精査中にもやもや病と診断され、術後QT時間の短縮を認めた11歳女児の1例
キーワード:QT延長症候群, QT時間, もやもや病
【背景】今回QT延長症候群(LQTS)の精査中に脳波異常から最終的にもやもや病と確定診断され、術後に明らかにQT時間の短縮を認めた女児の一例を経験したのでここに報告する。【症例】7歳時の学校検診でQT延長を指摘された。同時期より1ヶ月に数回意識減損を伴わない脱力感の訴えがあった。脳波異常を指摘され、抗てんかん薬を開始されたが自己中断していた。10歳時より同発作が増加したため2014年7月に当科を初診。心電図でQT=0.434, QTc(Fridericia)=0.517、LQTSの家族歴(詳細不明)がありSchwartz基準3点であった。負荷試験を施行しLQTと判断した。このとき遺伝子検査を提出済み(結果未)。また脳波検査を施行し、hyperventilation負荷により前頭部に2.5Hzの高振幅徐波を認め、頭部MRI検査で右MCA狭窄、左MCA閉塞ともやもや血管の発達を認め、もやもや病と診断された。2014年8月国立循環器病研究センターへ転院。これまでの脱力発作は意識消失を伴わないこと、それぞれの発作はlateralityを持つことからもやもや病の虚血発作である可能性が高いと判断された。2014年10月20日周術期管理目的にメインテート3mgの内服を開始し、QT=0.465→0.464, QTc(Fridericia)=0.539→0.480まで改善を認めた。2014年11月26日右STA(parietal branch)-MCA bypass +EMSを施行。術後QT=0.444, QTc(Fridericia)=0.409と明らかに改善した。【考察】LQTSとてんかんの関係はこれまでに報告されているが、LQTSともやもや病との関連を示唆する報告はない。本症例で認めた術後のQTc改善は脳循環の変化がQT時間に影響を及ぼした可能性が考えられる。