[I-P-045] 当院における過去15年間の感染性心内膜炎症例の検討
Keywords:感染性心内膜炎, 小児, 歯科治療
【背景】小児期の感染性心内膜炎は、予防法や抗菌薬療法が発達してきているにも関わらず一定の頻度で認められ、罹病率、死亡率ともに高いことが知られている。【目的】当院における感染性心内膜炎症例について、その臨床的特徴や感染のリスクファクター、予後危険因子などについて検討を行うこと。【対象・方法】1999年~2014年の間に当院において感染性心内膜炎として治療を行った16症例。年齢、性別、基礎疾患、原因菌、疣腫の部位、感染の誘因、心臓手術既往の有無、手術治療の選択の有無などについて、診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】年齢0.5-25歳(中央値5.5)、男7例女9例、基礎疾患(TOF5例,VSD4例,AVSD3例,MVP1例,PA/IVS1例,SV1例,CHDなし2例)、心臓手術既往(なし6例,姑息術後5例,心内修復術後3例)、原因菌(Streptococcus属8例,Staphylococcus属4例,その他4例)、疣腫の部位(右心系4例,左心系3例,確認不可9例)、感染の誘因(歯科的要因6例,シャント手術後2例,その他2例,誘因なし6例)、急性期外科治療(あり3例,なし13例)、急性期死亡症例はなし。【考察・結語】基礎疾患としてはTOF,VSDで過半数を占め(56%),原因菌としてはStreptococcus属とStaphylococcus属が大半を占めていた(75%)。感染の誘因としては歯科的要因を伴っている症例が多く(38%),年長例で多い傾向を認めた。思春期以降では定期的な歯科検診を受ける機会が減少するため、齲歯や歯周病を放置しがちになってしまう傾向があり、日常の口腔内環境の悪化が感染の重要なリスクファクターと思われる。先天性心疾患を有する患者、特に年長児においては日常的な口腔内衛生環境保持が感染性心内膜炎予防のために重要である。