[I-P-050] 肺動脈絞扼術後の経過中に突然死し、病理解剖で心筋への細胞浸潤を認めた21トリソミーの女児例
Keywords:21トリソミー, 心筋炎, 心筋症
症例は死亡時3か月の女児。胎児エコーで口唇口蓋裂・心室中隔欠損症・胸水貯留の診断を受けていた。在胎37週6日・2494gで出生、胎内診断通り口唇口蓋裂と膜様部心室中隔欠損症、胸水貯留を確認。顔貌異常と右母指多指症も認められ、後日染色体検査で21トリソミーが判明した。出生後胸水貯留に対しオクトレオチドを併用しながら日齢21まで持続ドレナージを施行、胸水の性状は乳糜であった。日齢39に肺動脈絞扼術施行、その後心嚢液貯留がみられるようになった。心嚢液のコントロールが困難で日齢96に全身麻酔下に心嚢腔穿刺施行、心嚢液の性状も胸水同様に乳糜であった。日齢107に心内修復術を予定していたが、日齢104に前兆なく突然徐脈となり蘇生に反応せず同日永眠。経過中に感染徴候や有意な心電図変化は認めなかったが、病理解剖でびまん性に心筋間質への単核球浸潤が認められ、病理学的には心筋炎と診断された。ただし心筋細胞の委縮性変性はみられるものの壊死性変化は著明でなく、間質の浮腫や線維化も軽度で典型的な急性心筋炎の組織像とも異なる部分があり、正確な診断に苦慮している。本症例について文献的考察を加えて報告する。