第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

1-20 その他

ポスター
心筋心膜疾患②

Thu. Jul 16, 2015 5:20 PM - 5:50 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:神山 浩 (日本大学)

I-P-050~I-P-054

[I-P-051] 病理組織診断で死因が確定したリウマチ熱による突然死の1例

池田 麻衣子, 永田 佳敬, 長井 典子 (岡崎市民病院 小児科)

Keywords:リウマチ性心炎, 伝導障害, 病理組織

【背景】リウマチ熱はA群β溶血性レンサ球菌感染後に発症する非化膿性急性炎症疾患で、関節炎、心炎、舞踏病などを引き起こす。溶連菌感染に対して抗生剤治療が行われている日本では、小児循環器学会の稀少疾患サーベイランスでも年間約5-10例と稀であり、急性期死亡の報告はほとんどない。剖検の病理組織診断から、リウマチ熱による伝導障害が原因の突然死と診断できた1例を経験したため報告する。【症例】12歳男児。併存疾患にカナー型自閉症がある。2か月前より数回の発熱エピソード、股関節痛、跛行があり、近医で検査施行されたが原因不明とされていた。他覚的に明らかな所見はなく、受診前日までは全身状態良好で通学できていた。受診前日より発熱出現、翌日嘔吐後に心肺停止状態となり救急搬送され、蘇生できず死亡した。血液検査ではCRP、WBC高値で、トロポニンIやCK上昇を認めず心筋炎は否定的と考えた。敗血症等を疑い、血液培養、ウィルス分離、インフルエンザ検査施行したが全て陰性であった。死後のCTでは死因となる所見を認めなかった。剖検したところ、病理組織診断で心筋に炎症所見をわずかに認めるも死因につながるほどの所見は認めなかったが、房室伝導路系優位にAschoff結節が見られ、心筋、僧房弁組織にもAschoff結節を少数認めた。残血清でASO、ASK高値を認め、病理組織所見と合わせ、リウマチ熱による伝導路障害のため突然死したと診断した。また姉の溶連菌迅速検査が陽性であった。近医撮影の股関節レントゲンや1か月前の心臓検診の心電図は正常であり、事前に予見することは困難であったと思われた。【考察】リウマチ性心炎では、急性期のPQ延長や、弁逆流、心拡大などは有名であるが、突然死の報告はほとんどない。本性例は、病理所見で伝導系が強く障害されており、完全房室ブロックなどの突然死が推測され、剖検が非常に有用であった。