[I-P-054] 当院で経験した小児心臓腫瘍
Keywords:心臓腫瘍, 結節性硬化症, 横紋筋腫
【背景】小児の心臓腫瘍の発生率は0.1%前後と非常に稀であり、横紋筋腫や粘液腫などの良性腫瘍が90%を占めるが、流出路狭窄や不整脈により早期に手術介入が必要な症例も存在する。【目的】心臓腫瘍の臨床経過を検討する。【方法】当院で2000年以降初診受診した心臓腫瘍症例の発見契機、基礎疾患、治療を後方視的に検討した。【結果】対象症例は25例、観察期間は1ヶ月-14年0ヶ月(中央値6年1ヶ月)、横紋筋腫20例、線維腫1例、粘液腫1例、筋繊維腫1例、組織不明2例。多発例は7例、心腔内を2/3以上しめる巨大腫瘍は8例あった。発見時期は胎児診断が10例、新生児期5例、乳児期8例、2歳1例、6歳1例。発見契機は胎児診断10例、結節性硬化症のスクリーニング8例、心雑音4例、NICU入室時スクリーニング2例。、経過中不整脈を6例で(PAC2例、PVC2例、WPW1例、Vf1例)、流入路/流出路障害を8例に認めた。巨大腫瘍例のうち4例で不整脈を合併、流入路流出路障害を5例で合併した。不整脈例では2例が抗不整脈薬で加療、血流障害例5例で腫瘍摘出術を行った。左室流入路障害を伴った線維種の1例は術後早期死亡。左室流出路障害の横紋筋腫の1例は手術待機中にVfとなりECMO装着後に手術を行ったが神経学的後遺症を残した。両室流入路障害粘液腫の1例、両室流出路障害の横紋筋腫1例、左室流出路障害の横紋筋腫1例は術後合併症なく退院。手術介入を要さなかった横紋筋腫17例中3例は腫瘍消失、11例で退縮した。【まとめ】小児心臓腫瘍は横紋筋腫が多く、大部分は退縮・消失した。巨大腫瘍は不整脈、血流障害を合併する頻度が高く予後不良例があった。血流障害を伴う巨大腫瘍は早期に手術介入を必要とするが、適切な時期に手術介入を行えば予後は良好と考えられた。