第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-11 心不全・心移植

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心不全①

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:高室 基樹 (北海道立子ども総合医療・療育センター)

I-P-055~I-P-059

[I-P-056] Fontan術後の成人患者におけるRDWの心不全に関するバイオマーカーとしての有用性の検討

中島 康貴1, 山村 健一郎1, 村岡 衛1, 白水 優光1, 寺師 英子1, 鵜池 清1, 平田 悠一郎1, 永田 弾1, 森鼻 栄治1, 坂本 一郎2 (1.九州大学病院 小児科, 2.九州大学病院 循環器内科)

Keywords:心不全, RDW, 成人先天性心疾患

【背景】赤血球容積粒度分布幅(RDW)は元来貧血の鑑別のために使用されてきたが、近年、虚血性心疾患や、心不全、肺高血圧等の循環器疾患の予後との関連が報告されてきている。先天性心疾患に関しても、RDWが心機能や予後と関連するという報告があるが、成人先天性心疾患、特にFontan循環の成人患者においてRDWの有用性を検討した報告はない。
【対象と方法】2009年から2014年に当院ハートセンター成人先天性心疾患外来に紹介された成人のFontan循環の患者93例のうちRDWが測定された83例(年齢23.7±5.5才、男性41人、女性42人)を対象とした。RDWと、心不全に関連する臨床パラメータとして、BNP、SpO2、EF、房室弁逆流、CVP、CI、RpIとの関係を比較検討した。
【結果】今回解析の対象とした患者群においてRDW 14.0±1.5%、BNP 32.8±37.4 pg/ml、SpO2 93.9±4.2%、EF 62.7±8.3%、房室弁逆流 1°(中央値)、CVP 10.3±2.9 mmHg、CI 3.0±1.8 l/min/m2、RpI 1.5±0.7 wood unit/m2であった。RDWとBNPの間に有意な正の相関関係を認めた(R2=0.08、p=0.008)が、その他の臨床パラメータとの間には相関は見られなかった。予後に関する検討として緊急入院の有無と臨床パラメータとの関係を解析したところ、緊急入院があった群で有意に高年齢、EF低値、CVP高値であったが(p<0.05)、RDWの値とは有意な関連は認めなかった。(p=0.29)
【考察】Fontan循環の患者においてもRDWは、心不全の程度を示す簡便かつ有用な指標となりうると考えられた。今回は、予後との関連は示すことはできなかったが、今後さらなる経過観察とデータの蓄積により、予後の予測にも有用なバイオマーカーとなりうるかについても検討していく必要がある。