第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-11 心不全・心移植

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心不全①

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:高室 基樹 (北海道立子ども総合医療・療育センター)

I-P-055~I-P-059

[I-P-057] 小児循環器領域におけるhome monitoringの有用性

栗嶋 クララ1,2, 桑田 聖子1, 金 晶恵1, 梁 明子1, 岩本 洋一1, 石戸 博隆1, 増谷 聡1, 先崎 秀明1 (1.埼玉医大総合医療センター 小児循環器科, 2.福岡市立こども病院 循環器科)

Keywords:Home monitoring, 血管機能, 外来診療

【背景】外来診療において限られた時間内で,かつワンポイントで病態の全貌を把握することは多大な制約がある.Home monitoringは,同じ条件下で日常の変動を捉えることが可能であり,詳細な病態把握に有用である可能性がある.
【目的】心不全患者におけるhome monitoringの有用性を検討する.
【方法】当院外来フォローアップ中の心不全患者10名を対象に,在宅での連日定時(起床時、眠前)の血圧,心拍数(HR)を測定し,記録してもらった.記録からHR-平均血圧(MAP)関係,HR-脈圧(PP)関係を解析した.
【結果】個々の症例において特有なHR-MAP関係,HR-PP関係を呈し,健常人とは異なるパターンを示す症例が多かった.高血圧患者におけるARB投与では,外来の測定では明らかなにならなかったMAPの有意な低下を捉えることが出来た.この変化はHR-PP関係は変化せずに,HR-MAP関係式の傾きはそのままで下方移動し,動脈弾性(コンプライアンス)より末梢血管抵抗に作用した変化を的確に捉えることが可能であった.また、Fontan術後患者では,患者自身が夜勤時には定常のHR-MAP関係から逸脱した値を呈し,客観的に生活指導することに有用であった.このようなHR-MAP関係を逸脱する日常での変化は,他の患者でも発熱など感染症罹患時にも認められた.一方,HR-MAP関係以外にも,心不全治療の強化によりHR変動や血圧変動が生じるようになり,自律神経改善の効果が示された.
【考察】Home monitoringは外来診療では捉えられない微細だが重要な変化を捉え,正確な病態把握や客観的な介入を可能とすると考えられた.