[I-P-061] Fallot四徴症術後の肺動脈弁閉鎖不全に対する肺動脈弁挿入術後の転帰
キーワード:ファロー四徴症術後, 肺動脈弁閉鎖不全, 肺動脈弁挿入術
【背景】Fallot四徴症(TOF)心内修復術(ICR)後の肺動脈弁閉鎖不全(PR)に対して、無症状の場合、肺動脈弁挿入術(PVR)の適応は確立しておらず、特に右室拡大が高度な場合、PVR後の転帰が予測困難なことがある。【目的】PVRを行ったTOF ICR後PR症例について右室容積・機能についてPVR前後で後方視的に比較し、術後経過との関連を検討する。【方法】当院において、TOF ICR後のPRに対してPVRが行われた症例のうち、PVR前後に心臓MRI(CMR)を行った8症例(男5例、女3例、年齢24~48歳)を対象とした。PVR後経過良好の6例(N群)と、術後右心不全をきたし、内科的治療を行っている2例(S群)について、CMRによる右室拡張末期容積(RVEDV)、右室収縮末期容積(RVESV)、右室駆出率(RVEF)、肺動脈弁逆流率(PRF)を比較検討した。【結果】N群の2例ではPVR前に易疲労を認めたが、術後軽快した。S群の2例はPVR前に無症状だったが、術後に息切れ、浮腫が出現した。N群全例で術後にRVEDVが改善したが(207.5±51.9ml/m2 vs 130.2±24.7ml/2 2)、S群では悪化していた(195.2±47.7ml/m2 vs 256.0±29.6ml/m2 )。RVESVも同様であった(N群 118.1±42.3ml/m2 vs 77.6±17.2ml/m2 、S群 109.4±36.8ml/m2 vs 180.8±35.2ml/m2 )。RVEFはN群では術後変化を認めなかったが(44.1±6.6% vs 42.1±13.1%)、S群では低下した(44.6±5.3% vs 29.7±5.7%)。PRFは両群とも術後に低下した。両群で術前の右室機能に明らかな差を認めなかったが、S群ではN群よりICRからPVRに至るまでの経過年数が長かった(N群26.7±9.1年、S群39.5±3.5年)。【結論】PVR後に生じる右心不全は、術前のCMRによる右室容積・機能および術後のPRFに依存せず、PRによる右室容量負荷の持続期間と関連する可能性が示唆された。TOF ICR後のPVR適応の至適時期について、ICR後の期間を考慮する必要があると考えられる。