[I-P-062] 失神に対し右室流出路再建を施行したFallot四徴症術後の1例
キーワード:ファロー四徴症, 心室性期外収縮, 右室流出路再建
【背景】ファロー四徴症(TOF)術後の再手術介入時期に関しては一定の見解はない。今回失神歴を有するTOF術後症例に右室流出路再建(RVOTR)施行したが、術後も心筋傷害によると思われる心室性期外収縮(PVC)が残存した症例を経験したので報告する。【症例】19歳女性。3歳時に心内修復術(transannular patch)を施行。10歳時に運動負荷心電図でPVCを認めた。18歳時に失神を繰り返し、心エコー上右心容量負荷所見を認めた。19歳時の心電図ではQRS幅 148msで完全右脚ブロック、ホルタ―心電図では心室頻拍は同定されなかった。MRIでは拡張末期右室容積(RVEDV) 155 ml/m2, 右室駆出率 56%, 肺動脈弁逆流率 47%, 心臓カテーテル検査では有意な右室-肺動脈圧較差は認めなかったが、右室拡張末期圧は10 mmHgと上昇し、RVOTの瘤形成も認めた。失神と不整脈の因果関係は証明できなかったが、右室容量負荷が関連あると考え同年RVOTRを施行。半年後の評価ではQRS幅 140ms, MRI上RVEDV 106ml/m2と減少し、失神も認めなくなった。しかし、運動負荷で変わらずPVCが誘発され、慢性的な心筋障害によるものと思われた。【考案】本症例の術後PVCは、心筋のreverse remodelingにより今後消失するか評価を要するが、TOF術後の再手術介入は心筋障害が進行する前に考慮されるべきと思われる。