[I-P-066] 成人期の修正大血管転位における急性心不全の病像 -当院で経験した6症例の検討-
キーワード:修正大血管転位, 急性心不全, 成人先天性心疾患
九州大学病院では成人先天性心疾患外来を開設し、福岡市立こども病院と連携し専門的診療を行っている。今回当院で管理中の成人期修正大血管転位(ccTGA)34例(16-74歳:中央値29歳、ダブルスイッチ6例、conventional repair (CR)17例、TCPC 3例、無手術(UR)8例)のうち、急性心不全を発症した6例(初回心不全時21-52歳:中央値30歳、CR 4例、UR 2例)について報告する。【症例1】29歳男性。5歳時にRastelli術、13歳時に導管置換を施行。29歳時に肺うっ血で入院。中等度大動脈弁閉鎖不全(AR)、重症肺動脈弁閉鎖不全(PR)があり、両弁置換の方針。【症例2】24歳女性。2歳時にRastelli術、20歳時に導管置換を施行。21歳時に肺うっ血のため入院し、以後2回の入院歴あり。中等度ARを認め今後当院にて精査予定。【症例3】28歳男性。5歳時にRastelli術。26歳時に中等度AR、中等度三尖弁閉鎖不全(TR)を指摘されたが経過観察していた。27歳時に肺うっ血で入院。その後、両弁置換および導管置換を施行。【症例4】61歳男性。11歳時に肺動脈弁拡大術を施行(心室中隔欠損(VSD)は自然閉鎖)。48歳から心不全入院を反復。重症TRを認めたが長期予後の観点から弁置換術を行わず、心移植登録後、60歳で補助人工心臓を装着し移植待機中。【症例5】31歳女性。小児期は未診断。30歳時、妊娠35週に肺うっ血となり、挿管、大動脈内バルーンパンピングにて管理。この時ccTGA(心内奇形なし)と診断。中等度TRを認めたが挙児希望のため弁置換術に同意されず経過観察中。【症例6】74歳男性。52歳時、心房粗動に伴い浮腫を認め入院。この時ccTGA、VSD、心房中隔欠損、肺動脈弁狭窄と診断。薬物療法でコントロール困難となり、73歳時にカテーテルアブレーション(僧帽弁下大静脈峡部焼灼)。【結語】急性心不全発症症例は6例中4例がCR群、2例がUR群であった。多くの症例でTRおよびARを認め、これらが急性心不全リスクの可能性がある。