[I-P-068] ファロー四徴症術後遠隔期に両心不全を来した一例
Keywords:ファロー四徴症, 肺動脈弁置換術, 成人先天性心疾患
【はじめに】ファロー四徴症術後の肺動脈逆流に対する肺動脈弁置換術の適応に関してはまだまだ不明な点も多い。ファロー四徴症術後、肺動脈逆流を来し両心不全となった患者に対し肺動脈弁置換を施行したが、術後も両心不全にて管理に難渋した症例について報告する。【症例】31歳男性。出生後カントレル症候群、ファロー四徴症で2歳時に左BTshunt、5歳時に右BTshunt施行。6歳時に一弁付きパッチを用いて右室流出路再建、VSD閉鎖術で根治術を施行した。20歳時に右室流出路狭窄が顕在化し肺動脈形成術、再度一弁付きパッチによる右室流出路再建術を施行した。その後経過は良好であったが31歳時に著明な全身浮腫で近医入院。一旦退院となったが当院外来受診時、全身浮腫と左心機能低下を認め、再度入院となった。胸部単純写真ではCTR70%、UCGでEF33%、LVDd48mmと左心機能は低下し、右室の著名な拡大、moderatePR、mildTRを認めた。入院後ショック状態となり左心機能低下に懸念はあったが緊急でPVR、TAPを施行した。術中の人工心肺の離脱は容易であった。ICU帰室後2時間ほど経過したのちに突然ショックとなり再開胸、アドレナリンの持続投与IABP等でショックを離脱した。しかし心不全は徐々に増悪術後3日で再度ショックとなりPCPS装着となった。その後心機能は回復せずPCPSの離脱は困難と判断、心移植の可能性を考慮し他院に転院搬送となった。【結語】ファロー四徴症術後、両心不全を来した症例に対しPVR、TAPを施行したが、心機能の改善なく移植施設への搬送となった。本症例のように右心不全が進行すると最終的に左心機能にも影響を及ぼしうると考えられた。近年PVRを積極的に行う傾向にあるが、左心不全を来す前に介入するのが望ましいと考えられる。ファロー四徴症術後PVRに関して文献的考察を加え報告する。