第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

ポスター

1-14 成人先天性心疾患

ポスター
成人先天性心疾患の諸問題①

Thu. Jul 16, 2015 5:14 PM - 5:44 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:賀藤 均 (国立成育医療研究センター)

I-P-069~I-P-073

[I-P-071] 当科における成人先天性心疾患患者の現状と問題点

美野 陽一1, 坂田 晋史1, 倉信 裕樹1, 橋田 祐一朗1, 船田 裕昭2 (1.鳥取大学医学部 周産期小児医学分野, 2.山陰労災病院 小児科)

Keywords:成人先天性心疾患, 遠隔期, 就労困難

【背景】近年内科管理と外科手術の進歩とともに、成人期を迎えた先天性心疾患患者数は増加している。成人先天性心疾患に特化した外来を持たない当院では、成人期の心疾患遠隔期followにおいても小児循環器医で担うことが多い現状である。それら症例の多くは心疾患に対するfollowのみでなく、様々な問題点が見受けられる。【目的】2012年から2014年の間に当科を受診し継続followしている成人先天性心疾患症例の現状と問題点を報告する。【結果】対象症例は28例、年齢は20~33歳(平均24.0歳)、男女比6:4であった。BNP(pg/ml)は2.0~414.1(中央値13.7)、NYHA心機能分類については16例でclass1、6例がclass2であった。術後症例19例のうちダウン症候群4例、フォンタン術後3例であった。未手術3例で全て染色体異常を認めた。2例で今後も継続した外科治療が必要であった。就学就労状況については11例で無職(うちclass1は4例で染色体異常2例を含む)で、有職者は全て自身の心疾患については職場での理解を得られていた。無脾症候群でフォンタン術後残存チアノーゼを認める1例で、増悪するチアノーゼのため離職を余儀なくされた。妊娠出産した症例はいなかった。入院管理した症例が3例あり、すべて小児病棟での検査入院であった。期間中に死亡した症例はいなかった。循環器内科を含む他科併診症例は5例にとどまり、多くは小児循環器医が継続して診療にあたっていた。【考察】今後も成人先天性心疾患患者数は増加する傾向にあると思われ、小児循環器医のみで診療管理を対応することは困難であり、循環器内科など他科と連携をとった診療体制が望まれる。一方、小児期からの心疾患治療に伴う就労困難などの問題に、小児科医の関わり継続を希望する声も聞かれた。心疾患管理のみならず社会的問題点も含め、小児科医として関わりを継続する必要性も見受けられた。