[I-P-072] 成人期に手術介入をした先天性心疾患を有するDown症候群3例の経過
キーワード:成人先天性心疾患, Down症候群, QOL
先天性心疾患(CHD)を合併するDown症候群(DS)に対する医療介入が乳幼児期から積極的に行われるようになりDSの寿命は延びQOLも改善している。しかしDSで成人期まで放置されたCHDや成人期以後の術後の遺残病変に対する手術介入が持つ意義については未だ不明な点が多い。今回我々は成人期以後に手術介入を行ったDSのCHD3例を経験した。成人期以後の外科治療のインパクトを検討したので報告する。【症例】症例1。幼少時にVSDと診断されたが姑息手術を含め外科治療は一切行われなかった。その後Eisenmenger化せずに経過し手術の可能性が残ると考えられ34歳で心臓カテーテル検査を施行。ほぼ等圧のPHを確認したがQp/Qs 4.5 Rp1.0Uで手術適応ありという結果が得られた。肺動脈絞扼術、肺生検を挟み心内修復術を施行。現在術後9年が経過している。症例2。7歳のときにTOFのICR(VSDパッチ閉鎖、Transannular patch)を施行。29歳でTR, PS, PRのため手術。三尖弁形成術、肺動脈弁置換術を施行。現在術後10年が経過している。症例3。7歳のときにTOFに対するICR(VSDパッチ閉鎖、右室流出路拡大術)を施行。重度のTRのため20歳で外科治療を施行。三尖弁中隔尖に穿孔がありパッチ閉鎖と弁輪縫縮を施行。現在術後10年が経過している。【結果】現在の3例ともに歩行、食事、排泄、入浴に介助は要さず良好なQOLが維持されていた。外来での定期フォローは1年に1回、内服や在宅酸素などの医療介入が継続しているものはいなかった。【結論】成人期に到達したDown症候群のCHD患者でも積極的な外科治療介入は良好なQOLを維持するのに有効と思われる。