第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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1-14 成人先天性心疾患

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成人先天性心疾患の諸問題①

2015年7月16日(木) 17:14 〜 17:44 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:賀藤 均 (国立成育医療研究センター)

I-P-069~I-P-073

[I-P-073] 高齢者心房中隔欠損症、動脈管開存症に対するカテーテル治療 ―心機能の可逆性の差異を、心臓エネルギー効率の観点から検証する―

山村 健一郎1,2, 坂本 一郎2,3, 村岡 衛1, 白水 優光1, 寺師 英子1, 中島 康貴1, 鵜池 清1, 平田 悠一郎1, 永田 弾1, 森鼻 栄治1, 田ノ上 禎久4 (1.九州大学病院 小児科, 2.九州大学病院 ハートセンター成人先天性心疾患外来, 3.九州大学病院 循環器内科, 4.九州大学病院 心臓血管外科)

キーワード:成人先天性心疾患, 高齢者, カテーテル治療

【背景】高齢者心房中隔欠損症(ASD)、動脈管開存症(PDA)に対するカテーテル治療の有用性については報告があるが、心機能の可逆性を心臓エネルギー効率の観点から検証した報告はない。【対象と方法】2013年以降にカテーテル治療を行った成人ASD 21例を、60才以上の高齢者群(n=9, 66.5±4.6才)と60才未満の若年者群(n=12, 35.0±13.1才)の2群に分け、カテーテル治療前,術直後,中期遠隔期(12.5±5.2ヶ月)の各段階における,臨床パラメータ(CTR, BNP, LV-EF)を経時的に比較検討した。同時に、左室収縮能(Ees=平均血圧/LVESV), 後負荷(Ea=収縮期血圧/(LVEDV-LVESV)), エネルギー効率(Ea/Ees、SW/PVA=1/(1+0.5Ea/Ees))についても解析した。さらに、高齢者PDA 2例と比較し、その差異を検討した。【結果】高齢者ASD群、若年者ASD群の各群において、Qp/Qs 3.76±1.87 vs 3.48±1.03, 閉鎖栓のサイズ 22.5±5.7 vs 24.0±5.9mmと有意差はなかった。「治療前→治療直後→遠隔期」の臨床パラメータ(平均値)はそれぞれ、CTR 57.5→53.5→53.0% vs 48.0→50.0→49%、BNP 140→157→97 pg/ml vs 16→20→14 pg/ml、LV-EF 56.2→71.8→65.1% vs 70.3→72.7→72.5%、エネルギー効率Ea/Ees0.83→0.59→0.77 vs 0.56→0.55→0.58と、高齢者ASD群の方が臨床パラメータ、エネルギー効率の改善の程度ともに大きかった。 一方、高齢者PDAの2例においては、術前からエネルギー効率が低下しており、EFや他の臨床パラメータについても術後の改善が乏しいという結果であった(Ea/Ees 1.61→1.94→2.06, EF 55.8→46.8→51.5%)。【考察】高齢者ASDにおいては、術前の左室エネルギー効率が比較的保たれており、カテーテル治療後は若年者以上に臨床パラメータ、心機能が改善し、臨床的メリットも大きい。一方、高齢者PDAでは、エネルギー効率の低下した状態が長期間続いており、治療後も心機能の改善が得られにくいものと考えられた。