[I-P-074] 極低出生体重児(VLBWI)に対する出生前ステロイド投与の左心拡張能への影響
Keywords:出生前ステロイド, 左室拡張能, 極低出生体重児
【始めに】出生前ステロイド投与が、早産児の呼吸窮迫症候群を軽減し、予後の改善効果があり使用されている。また、ステロイドは、心筋肥厚など、心筋への効果が知られ、出生前ステロイドが心筋拡張能に与える効果についての基礎からの報告がある。そこで今回、出生前ステロイドが極低出生体重児(VLBWI)の左室拡張能に与える影響を検討したので報告する。【対象】2005年11月から2012年12月までに当院NICUに入院したAFDのVLBWI44例。出生前ステロイド投与されたS群 11例、投与されていないN群 33例【方法】M-mode法にて、左室収縮末期径(Ds)、拡張末期径(Dd)、左室収縮末期後壁厚(PWs)、左室拡張末期後壁厚(PWd)、またそこからDiastric Wall Strain(DWS)を計算した。拡張能の指標として、拡張早期左室流入血流速度(E)、心房収縮期左室流入血流速度(A), Deceleration time(DT)、僧帽弁輪の組織ドップラー法により、拡張早期移動速度(E‘)、心房収縮期移動速度(A')を計測した。これらの指標を生後12時間、24時間、48時間、96時間に測定した。統計学的検討は反復測定分散分析をし、群間の比較には対応のないt testで検討した。p<0.05を有意とした【結果】 生後12時間の心拍出量でN群とS群との間に有意ではないがS群のほうが心拍出量が少ない傾向があった。生後12時間と生後96時間の拡張末期および収縮末期の左室径において、S群とN群との間に有意差を認めた。拡張能の指標には有意ではなかったが、心房収縮期血流速度が遅い傾向があり、S群では左房負荷が少ない可能性が考えられた。【結語】S群においてより、少ない心負荷で循環が維持されている可能性が示唆された。