第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-15 周産期・心疾患合併妊婦

ポスター
周産期①

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:前野 泰樹 (久留米大学)

I-P-074~I-P-078

[I-P-076] 早産児における左房容積および動脈管開存症評価━PLASE studyの現況(介入を伴わない、多施設共同前方視的観察型研究(コホート研究))

増谷 聡, 豊島 勝昭, 小林 徹, 諌山 哲哉, 横山 岳彦, 川崎 秀徳, 岩見 裕子, 長澤 宏幸 (PLASE study 研究グループ)

Keywords:PDA, 早産児, 左房容積

【背景】早産児の動脈管開存症(PDA)をどのような診断基準とタイミングで治療介入すべきか一定の見解はなく、PDA治療必要性評価法が十分に定まっていない。【目的】PLASE Study(Patent ductus arteriosus and Left Atrial Size Evaluation study in preterm infants)では早産児における臨床・検査所見とその後の推移と、PDAの内科的・外科的治療必要性や児の予後との関連を検証し、適切なPDAの管理法を明らかにする。主研究では以下二つの仮説を検証する。(1)左房容積、左房大動脈径比、左肺動脈拡張期血流速度、PDA径、Choi基準等の手術直前の臨床・検査所見は、手術を受けなかった児の経過中の臨床・検査所見と異なる(2)左房容積は他の変数と比較し高い手術予測能力をもつ。【方法】NICU30施設が参加し、2015年春から在胎23-29週で出生した早産児を対象に、日齢1,3,7,14日、初回COX阻害薬治療直前、PDA手術直前・直後の心エコー・臨床検査所見と、患児の予後情報を集積する。目標症例数は先行研究に基づき500症例と設定した。研究の質を担保するために症例登録前に心エコーの精度管理を行い、独立したデータセンターと統計センターがデータ管理と解析をそれぞれ担当する。【現状】倫理審査、症例報告用紙、各種マニュアルの整備を終え、症例集積の準備が整った。2015年春には心エコー精度管理を終え、症例登録を開始する予定である。【考察】PLASE Studyは早産児PDAの心エコー所見の生後経過を前方視的に詳細に集めた世界でも最大のコホートとなる。複数の仮説検証を行い、早産児PDAの心エコー所見・臨床検査所見とその時間経過に基づいた患児の適切な治療必要性評価や的確な予後予測について新規知見を得る予定である。日本のこまめな心エコー評価に基づいた早産児PDAの管理は世界的にも珍しく、全国の新生児科医と小児循環器医の共同による本研究は、世界のPDA治療の向上につながる可能性がある。