[I-P-083] 当院における未熟児動脈管に対する手術治療成績の検討
Keywords:未熟児, 動脈管開存症, 外科治療
【はじめに】未熟児動脈管に対する治療はインドメタシンを中心とした内科的治療が中心であるが、奏功しない場合には外科的結紮術が適応となる。【目的】当院における未熟児動脈管の外科治療の成績について報告する。【対象と方法】当院において2001年から2014年12月までに当院NICUに入院した新生児のうち未熟児動脈管と診断され外科手術を行った症例42例を対象とした。また、未熟児動脈管の治療方針が標準化された2005年以降の症例のうち、インダシン投与が有効であった症例と、インダシンが無効で外科的閉鎖術を行った症例を対象に比較検討を行った。外科的閉鎖術の手術術式は全例左後側方切開で第3肋間開胸し肺の圧排は細心の注意を払って愛護的に行い、壁側胸膜はリンパ液漏予防のために結紮しながら切開、動脈管はほぼ全例で2重結紮、ごく一部の症例でクリップを使用した。【結果】全手術症例の在胎週数は26.1±2.1週、手術時体重は848±257gであった。1例を除く全例で術前にインダシンの投与を行っていた。平均日齢3.4±2.0日で手術を行っていた。術後合併症発生は、気胸1例、乳び胸1例、反回神経麻痺1例で、横隔神経麻痺、創部感染はなかった。手術関連死亡はなく入院死亡は2例でいずれも感染症による死亡であった。2005年以降インダシン投与を行った症例は338例でそのうち29例で外科的閉鎖術を行っていた。インダシン投与症例のうち非手術症例と手術症例の比較では、在胎週数27.1±2.7vs26.3±2.1週、出生時体重927±287vs873±279gと両群間に差はみられなかった。インダシン投与非手術症例308例中入院死亡38例(死亡率12.3%)に対して手術症例29例中入院死亡は1例のみ(死亡率3.4%)と有意差はないものの、手術症例の方が入院死亡率は低かった。【考察】当院における未熟児動脈管に対する外科治療は、定型的な手術術式により安全に行うことができており、合併症が少なく、入院死亡率も低いことが明らかとなった。