[I-P-085] Fontan型手術後に大動脈弁下狭窄をきたした症例の検討
キーワード:Fontan型手術, 大動脈弁下狭窄, D-K-S吻合
【背景】Fontan型手術後に進行する大動脈弁下狭窄(以下、SAS)は再手術の原因となりうる。一方でSASを認める症例や将来的にSASの進行が懸念される症例ではFontan型手術までにDamus-Kaye-Stansel吻合(以下、DKS)が行われることがある。
【目的】Fontan型手術後のSASによる血行動態や遠隔期への影響を検討する。
【方法】2004-2014年に当院でFontan型手術後の心臓カテーテル検査を行った患者を対象とし、Fontan型手術後に圧較差5mmHg以上のSASを認めた症例(SAS群)およびFontan型手術までにDKSを施行した症例(DKS群)について診療録を基に後方視的に検討した。各群の検査値、Fontan型手術後の合併症を比較した。
【結果】SAS群は9例おり、うち8例でSAS解除術が施行された。主心室は左室が5例、右室が4例であった。疾患は、両大血管右室起始症4例、三尖弁閉鎖症2例、完全型房室中隔欠損症1例、左室性単心室2例。肺動脈弁狭窄1例・肺動脈弁形態不良2例と形態的にDKSが困難な症例は3例であった。残りの6例はFontan型手術までに肺動脈弁は外科的に閉鎖されていた。SAS群では、SAS圧較差は平均48.1mmHg、平均拡張末期圧は主心室別に左室は11.8mmHg・右室は9.5mmHgであった。また、平均中心静脈圧は13.7mmHgであり、平均Qsは2.8L/min/m2であった。3例(33.3%)でPLEを発症していた。SAS解除術後のSAS圧較差は平均14.0mmHgであった。DKS群は56例おり、主心室の平均拡張末期圧は左室7.0mmHg(23例)、右室7.0mmHg(33例)であり、平均中心静脈圧は12.8mmHgであった。平均Qsは4.0L/min/m2であった。PLE発症例を1例(1.7%)認めたが、DKS吻合部に狭窄をきたした症例であった。両群間でQs、PLE発症に統計学的有意差を認めた。
【考察】今回の検討では、Fontan型手術後のSASの進行は血行動態に影響を与え、PLE発症に関与している可能性が示唆された。Fontan型手術の適応症例では、将来的なSASの進行まで見据えた治療方針を立てるべきである。
【目的】Fontan型手術後のSASによる血行動態や遠隔期への影響を検討する。
【方法】2004-2014年に当院でFontan型手術後の心臓カテーテル検査を行った患者を対象とし、Fontan型手術後に圧較差5mmHg以上のSASを認めた症例(SAS群)およびFontan型手術までにDKSを施行した症例(DKS群)について診療録を基に後方視的に検討した。各群の検査値、Fontan型手術後の合併症を比較した。
【結果】SAS群は9例おり、うち8例でSAS解除術が施行された。主心室は左室が5例、右室が4例であった。疾患は、両大血管右室起始症4例、三尖弁閉鎖症2例、完全型房室中隔欠損症1例、左室性単心室2例。肺動脈弁狭窄1例・肺動脈弁形態不良2例と形態的にDKSが困難な症例は3例であった。残りの6例はFontan型手術までに肺動脈弁は外科的に閉鎖されていた。SAS群では、SAS圧較差は平均48.1mmHg、平均拡張末期圧は主心室別に左室は11.8mmHg・右室は9.5mmHgであった。また、平均中心静脈圧は13.7mmHgであり、平均Qsは2.8L/min/m2であった。3例(33.3%)でPLEを発症していた。SAS解除術後のSAS圧較差は平均14.0mmHgであった。DKS群は56例おり、主心室の平均拡張末期圧は左室7.0mmHg(23例)、右室7.0mmHg(33例)であり、平均中心静脈圧は12.8mmHgであった。平均Qsは4.0L/min/m2であった。PLE発症例を1例(1.7%)認めたが、DKS吻合部に狭窄をきたした症例であった。両群間でQs、PLE発症に統計学的有意差を認めた。
【考察】今回の検討では、Fontan型手術後のSASの進行は血行動態に影響を与え、PLE発症に関与している可能性が示唆された。Fontan型手術の適応症例では、将来的なSASの進行まで見据えた治療方針を立てるべきである。