第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

ポスター

1-16 肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスター
肺高血圧 LBWI

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:26 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:豊島 勝昭 (神奈川県立こども医療センター)

I-P-094~I-P-099

[I-P-094] 肺血流の調節に難渋した早産低出生体重の肺動脈閉鎖、心室中隔欠損の1例

井上 奈緒1, 森 善樹1, 村上 知隆1, 金子 幸栄1, 中嶌 八隅1, 岡本 卓也2, 神崎 智仁2, 渡邊 一正2, 小出 昌秋2 (1.聖隷浜松病院 小児循環器科, 2.聖隷浜松病院 心臓血管外科)

Keywords:早産低出生体重, 肺血管抵抗, 肺血流コントロール

【はじめに】修正月齢および体重が成熟児と同程度で手術をしたが、肺血流の調節に難渋した早産低出生体重の1例を経験したので報告する。【症例】胎児期に肺動脈閉鎖、心室中隔欠損と診断した。在胎32週に、胎児機能不全のため緊急帝王切開で出生。体重1196g、アプガスコア3/5(1/5分)点。出生後、気管内挿管、サーファクタント投与、カテコラミン、リプルを開始し、日齢28に抜管、日齢73にDPAPを離脱した。SpO2は80%前後で推移し、日齢71、体重2.7kgで施行したCTでは動脈管(PDA)は4.0mm、肺野条件では慢性肺疾患の所見なし、心エコーでPDAの最大流速は4.0m/sと肺高血圧(PH)の所見もなかった。日齢103(修正日齢52)、体重3.3kgで右BTS手術(3.5mm)を施行した。術直後、room airでSpO2は85%だったが、ICU帰室後に60%台まで低下し、FiO2 1.0、NO 20ppm使用下で再開胸をし、90%台まで改善した。PH crisisと判断した。再閉胸後はNO20ppm、room airでSpO2は85-90%を推移したが、術後2日に突然SpO2が97%まで上昇、心拍数が167→80回/分に低下し、心肺蘇生を施行する状態となった。原因は急な血流量増加によると判断した。以後も循環動態は不安定で、SpO2、尿量を指標に、NOまたはN2療法と相反する治療を行う必要があった。術後14日頃には安定しはじめ、SpO2はroom airで85%、心エコーでBTS血流は良好で、流速は4.2m/sだった。術後21日より徐々にSpO2が70%台まで低下し、造影CTを施行したがBTSの狭窄はなく、左右肺動脈の造影も良好だった。心エコーではBTS血流の最大流速が3.6m/sと軽度低下していたため、軽いPHの状態と判断した。シルデナフィル、酸素投与を開始し、SpO2は80%台前半に回復、心エコーでBTS血流の最大流速は4.0m/sに改善し、術後32日で退院となった。【結論】早産低出生体重の症例では、体重、修正月齢、成熟児と同程度であっても肺血管抵抗が不安定で、術後肺血流のコントロールに難渋することがある。