第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-16 肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

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肺高血圧 LBWI

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:26 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:豊島 勝昭 (神奈川県立こども医療センター)

I-P-094~I-P-099

[I-P-097] 先天性孤発性肺静脈狭窄症に対して繰り返し介入を要したMowat-Wilson症候群の1例

野木森 宜嗣1, 進藤 考洋2, 絹巻 暁子1, 生井 良幸1, 中釜 悠2, 田中 優2, 林 泰佑2, 平田 陽一郎2, 犬塚 亮2, 清水 信隆2, 平田 康隆3 (1.太田西ノ内病院 小児科, 2.東京大学医学部附属病院 小児科, 3.東京大学医学部附属病院 胸部外科)

Keywords:肺静脈狭窄, 肺高血圧症, Mowat-Wilson症候群

【はじめに】先天性肺静脈狭窄症は治療により一時的な改善が得られても再狭窄を生じることが多く、長期的な予後は不良である。今回我々は先天性肺静脈狭窄症に対して繰り返し治療介入を行い、成長発達の得られたMowat-Wilson症候群(以降MWS)の1例を経験したので報告する。
【症例】症例は周産期の異常を指摘されずに出生した女児。生後の体重増加は良好であったが、生後3か月時に呼吸停止のため救急搬送され蘇生を行われた。その後の精査で肺動脈性肺高血圧症、肺静脈狭窄症、心房中隔欠損症と診断された。肺高血圧症と右心不全に対する内科的治療を経て、生後9か月時に外科的に肺静脈狭窄解除術を行われた。術後は左上肺静脈の完全閉塞を伴いながらもタダラフィル、アンブリセンタン、利尿剤を中心とする内服加療で退院したが、肺静脈再狭窄と肺高血圧症増悪を認めて1歳1か月時に開胸下での肺静脈ステント留置術を行われた。一時的な改善は認めたが、1歳6か月時に右上肺静脈の完全閉塞と残存肺静脈の再々狭窄があり、左下肺静脈に対するバルーン拡張術を行われた。1歳8か月の現在も経過観察中であるが、成長発達も得られている。なお、患児は耳朶の形態異常、斜視、眼振、低身長を認めた。SNP解析では2q22の欠失が確認されMWSの診断となった。
【考察】先天性肺静脈狭窄症の治療にあたっては、ステントの改良やステント内でのsonotherapyの併用、sirolimus経口投与などが試みられているが、未だ長期予後の改善に乏しい。本児では治療による短期的な予後の改善を重ねて、少なくとも生後3か月から1歳8か月まで生命予後を延長することができた。bridging therapyとして各治療を組み合わせることは有用と思われた。成長発達も得られてきており、今後一般的なMWSの発達程度との比較が望ましい。