[I-P-098] Airway compression as a manifestation of pulmonary arterial hypertension in children
Keywords:肺高血圧, 気管支狭窄, 吊上げ術
【背景】肺高血圧や肺血流量増加をきたす心疾患では拡張した肺動脈が気管支を圧迫し呼吸不全をきたすことがある.今回,気管圧迫症状を呈し緊急手術を要した3例を経験したので報告する.【症例】症例1;3ヶ月,女児.前医にて多呼吸,血圧低下を認め人工呼吸管理となり当院へ搬送.心エコーにてsmall ASD, mild left PV stenosisと診断。カテーテル検査では肺動脈圧58mmHg,肺動脈楔入圧 11mmHgであり,肺動脈性肺高血圧と診断.肺動脈性肺高血圧の治療を行うも呼吸状態の悪化を認めたため人工呼吸器管理となったが、その後も肺高血圧クライシス様のエピソードを繰り返した。CT上肺動脈拡張に伴う中間気管支幹,左気管支狭窄を認め、大動脈吊上げ術にて圧迫解除を行い、循環・呼吸状態は改善した。症例2;1ヶ月,男児.チアノーゼを主訴に前医から紹介. エコーにてccTGA,VSD,ASD, 肺高血圧と診断.CTでは拡張した肺動脈が左右主気管支を圧迫.呼吸不全のため人工呼吸器管理となったが、換気不全・血圧低下のエピソードを繰り返したため、VSDパッチ閉鎖,肺動脈吊上げ術を施行。気道狭窄は消失した.症例3;5ヶ月,女児.Cantrell五徴に伴うDORV,subaortic VSDに対し新生児期に肺動脈絞扼術を施行.生後5ヶ月時から呼吸不全が進行し人工呼吸管理となった。肺動脈絞扼部位の通過血流速度の低下を認め肺高血圧の進行が疑われた。 CTでは肺動脈による左主気管支の圧迫を認め、VSDパッチ閉鎖,肺動脈形成術,肺動脈吊上げ術を施行. 気道狭窄は消失した。【考察】拡張した肺動脈が圧迫する好発部位は解剖学的位置関係から左主気管支であり、3例とも吊上げ術を施行し,肺動脈による気管圧迫を解除することができた.【結論】肺動脈による気管圧迫は、肺血流増加や肺高血圧を認める症例において、急性呼吸不全の原因となりうるので速やかな診断と対処が必要である.