[I-P-102] 心内修復術後に残存した肺高血圧に対する血管拡張薬多剤併用療法が有効であった21 trisomyの3例
Keywords:肺高血圧, 肺血管拡張薬, 先天性心疾患
先天性心疾患は適切な時期に修復術を行うことで肺高血圧の改善が期待できるが、肺高血圧が残存した場合は死亡リスクが2倍以上になることが報告されている。また適切な時期に手術を行った場合でも21%に術後肺高血圧の増悪を認めるという報告もある。近年新しい血管拡張薬が使用可能となり術後残存肺高血圧の患者の予後改善が期待されている。当科では21 trisomyの先天性心疾患3例に術後残存肺高血圧を認め、それに対し血管拡張薬多剤併用療法を行ない、全ての症例で肺動脈圧の正常化を認めたのでこれを報告する。(症例1)VSDの女児。生後36日の心カテで平均肺動脈圧(PAPm)=49mmHg, 肺血管抵抗(Rp)=4.9単位・m2であり、生後50日に心内修復術(ICR)を施行。tadarafil 1.0mg/kg/day, ambrisentan 0.1mg/kg/dayの併用療法により術後1年で肺動脈圧の正常化(PAPm=18, Rp=1.8)を認めた。(症例2)TOFの女児。生後10か月でPAPm=32, Rp=5.0でICRを施行。術後tadarafil 1.0mg/kg/day, ambrisentan 0.2mg/kg/day, beraprost 2.4μg/kg/dayの併用を行い、術後1年8か月で肺動脈圧の正常化(PAPm=16, Rp=2.8)を認めた。(症例3) AVSD(Rastelli type A)の男児。姑息術で成長を待ち、生後1年でPAPm=23, Rp=4.8で根治術を施行。術後PAPm=30程度まで増悪したが、tadarafil 1.0mg/kg/day, ambrisentan 0.2mg/kg/day, beraprost 2.4μg/kg/dayの併用を行ない、術後2年3ヵ月で肺高血圧の正常化(PAP=18, Rp=3.0)を認めた。