第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-16 肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

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肺高血圧 Down

Thu. Jul 16, 2015 5:26 PM - 5:56 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:梶野 浩樹 (網走厚生病院)

I-P-100~I-P-104

[I-P-104] タダラフィル導入が著効したダウン症による重症Eisenmenger症候群の1例

飯田 千晶, 田代 克弥 (佐賀大学医学部 小児科)

Keywords:Eisenmenger症候群, タダラフィル, ダウン症

【症例】23歳女性。生後早期から心雑音を聴取され、生後4か月で当科初診。ダウン症+心室中隔欠損症(VSD)と診断された。さらに、3歳過ぎからチアノーゼが出現し、5歳時の心臓カテーテル検査でEisenmenger症候群(以下EM)と確定診断、手術適応なしと判断された。このため、抗心不全薬、抗血小板薬、在宅酸素療法等を行われてきたが、経年的に低酸素血症と多血症が徐々に進行した。10代後半以降SpO2は室内気で70%台半ば、Htは常時60%以上であり70%超えた時には適宜瀉血も要する状態であった。低酸素血症の進行と共に腎機能も低下し、18歳時には心不全の増悪を契機に急性腎不全で無尿となり一時的に腹膜透析が必要となった。肺高血圧症改善目的でボセンタンやベラプロスト内服を導入して経過をみたが、いずれも十分な効果が得られず中止とした。21歳時にタダラフィル内服を導入したところ、緩やかに多血は改善し、それまで3か月に1回程度要していた瀉血も不要となった。また腎機能も改善傾向となり、一時は50台前半まで低下したeGFRは90前後まで回復している。現在タダラフィルに加え、抗血小板薬や利尿剤、ACE-Iなどの内服と在宅酸素療法で状態は落ち着いている。Htは50台前半で経過しており、労作時の息切れなどの自覚症状もない状態である。少量の喀血も一時見られたがステロイド吸入の導入で落ち着いている。【考察】EM症例に対する肺血管拡張薬使用の報告は近年増加しており、その有効性も確立されつつある。しかし、ダウン症EM患者における使用経験やその効果、長期経過については不明な点が多い。本症例は重症のEM症例であったがタダラフィル開始により、血行動態・全身状態ともに回復し状態は安定している。ダウン症の重症EM患者に対しても、適切な肺血管拡張薬導入は有効であった症例を経験したのでここに報告する。