第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-17 心血管発生・基礎研究

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心血管発生・基礎研究①

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:濱田 洋通 (東京女子医科大学八千代医療センター)

I-P-105~I-P-109

[I-P-109] 疾患iPS細胞の心筋細胞分化時の接着培養におけるマトリクスの効果の検討

羽山 恵美子1, 川口 奈奈子1, 古谷 喜幸1, 島田 光世1, 松岡 瑠美子2, 中西 敏雄1 (1.東京女子医科大学医学部 循環器小児科, 2.若松河田クリニック)

Keywords:iPS細胞, 心筋細胞分化, B細胞株

[背景]ヒト血液中のB細胞をEBウィルス感染により不死化したB細胞株は、遺伝子変異の研究に有用なリソースであり、我々の研究室では、4200人以上の、主として心疾患患者およびその家族、また対照群として健常者のB細胞株を保存している。我々はこの不死化B細胞株を用いたiPS細胞を作製し、昨年の本会にて報告した。心疾患の病態解析や創薬スクリーニングのために、これら疾患iPS細胞を心筋細胞に誘導分化させ、疾患モデルを作成することが望まれる。一般にiPS細胞から誘導された心筋細胞への分化効率は低く、胎児性の心臓細胞が誘導されることが多い。[目的] 病態モデルを作製するためには、患者の年齢などを反映した(成熟した)心筋細胞が得られることが望ましい。さらに、病態解析や創薬スクリーニングのためには、接着した心筋細胞が必要とされ、薬剤応答性の検定や拍動頻度の測定に用いられる。そこで、成熟した接着型の心筋細胞の形成法について検討した。 [方法] まず、効率良く拍動胚様体(EB)を形成し、拍動EBを酵素処理により分離し、コートするマトリクスの種類をいくつか選択して接着させた。接着能や増殖能を観察し、接着状態での拍動や心筋細胞特異的なタンパク質の発現を検討した。[結果・考察] 拍動EBを酵素消化し再播種したところ、接着の効率はコート剤の種類に依存した。適合したコート剤に接着した細胞は、数日の培養の後、拍動を開始した。培養を継続すると、細胞は次第に増殖し、広範囲の細胞が同期し、安定して拍動を継続した。細胞の大半は心筋細胞分化マーカーであるトロポニンTやαアクチニン陽性であり、拍動部分では一層高濃度に発現していた。これらの結果から、適合したコート剤を用いて接着培養した拍動細胞は、成熟した心筋細胞に近いと考えられ、今後薬剤応答性を検討することで、確認される必要がある。