第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

2-01 外科治療

ポスター
冠動脈

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:落合 由恵 (九州病院)

I-P-115~I-P-119

[I-P-115] 左冠動脈起始部病変に対する3手術例

杉本 愛, 白石 修一, 文 智勇, 高橋 昌, 土田 正則 (新潟大学医歯学総合病院 心臓血管外科)

Keywords:冠動脈起始異常, 冠動脈形成術, 心原性ショック

【緒言】冠動脈起始異常は、稀だが安静時検査所見に乏しく、若年/運動選手の突然死原因の上位を占め、緊急治療介入を要する重篤な疾患である。労作時胸痛/ショックから診断され手術施行した3例を経験したので報告する。
【症例1】13歳男児。生来健康。部活動中に激しい胸痛と動悸を自覚し救急搬送。精査にて異常なく帰宅、2週後に同じ経過で再入院した。QT延長症候群疑いで当院紹介。エコー/造影CTで左冠動脈入口部閉鎖と診断、薬剤負荷心筋シンチにて虚血所見を認め、待機的に手術施行した。左冠動脈は大動脈弁のLN交連に合流しつつ閉鎖。左冠動脈主幹部と大動脈壁をcutbackして後壁形成し上壁をパッチ形成した。術後1ヶ月、症状なく経過観察中。
【症例2】13歳男児。生来健康。ランニング中に心肺停止しAEDにて蘇生(解析:Vf)、救急搬送。精査加療目的に当院紹介、エコー/造影CTにて左冠動脈右冠動脈洞起始と診断。左冠動脈は肺動脈-大動脈間で圧排され、薬剤負荷心筋シンチおよびトレッドミル検査で心電図変化を認めた。待機的に手術施行。左冠動脈は右冠動脈洞起始で約1cm壁内走行していた。同部位のunroofing施行。術後2年経過、激しい陸上競技中も症状なく経過良好。
【症例3】生後3ヶ月の女児。生後3ヶ月時、嘔吐/顔色不良で急患センター受診、心原性ショックにて緊急搬送、蘇生処置を施行された。エコーにて左冠動脈肺動脈起始症と診断され加療目的に当院へ搬送。造影CT/カテーテル検査で確定診断し準緊急的に左冠動脈移植術を施行。術後遷延する心不全に対してACEi, β-blockerを導入。術後4年半のエコーにてLVDd 99% of N, LVEF=61%, MR modと心機能は回復傾向、冠動脈異常を指摘されず、元気に保育園通園中。
【結語】左冠動脈起始異常を有した3例を経験した。胸部症状およびショックを呈する小児では冠動脈起始異常を念頭におく必要がある。確定診断および治療方針検討に造影CTが有用であった。