[I-P-117] 術式決定に検討を要した成人期Bland-White-Garland症候群の1治験例
Keywords:Bland-White-Garland症候群, Anomalous left coronary artery from the main pulmonary artery, CABG
【背景】Bland-White-Garland症候群は成人期まで生存することが少ない冠動脈奇形であり、症例報告が散見される程度である。手術方法としてLCA translocation、Tunnel operation(Takeuchi repair)、冠動脈バイパス術のいずれかが選択されるが、報告例により患者背景が様々であり、いずれの術式を適応とするかについては議論がある。今回術式決定に検討を要した本疾患を経験したため報告する。【症例】51歳女性、呼吸苦にて受診しBland-White-Garland症候群と診断。冠動脈CTにてLMTは短く、肺動脈後壁のやや左側から起始していた。LVGにてEFは33%、前壁と中隔の壁運動は低下。上記所見から本症例に対しLMT開口部のパッチ閉鎖、大伏在静脈を用いたLADへの冠動脈バイパス術を施行。術後冠動脈CTにてグラフト開存を確認。経過良好にて術後16日目に退院となった。【考察】本症例のLMT起始部は大動脈壁から距離があり、LCA translocation法は困難と考えた。また心機能低下症例であったため手技的に単純な冠動脈バイパス術を選択した。LMTの処理は単純結紮や開口部の直接縫合閉鎖によりLCX分岐部の狭窄を来す可能性を考え、肺動脈内のLMT開口部をパッチ閉鎖した。【結語】成人期Bland-White-Garland症候群に対しては年齢、術前心機能、冠動脈形態など考慮した上で術式を検討する必要がある。