第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

2-01 外科治療

ポスター
冠動脈

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:落合 由恵 (九州病院)

I-P-115~I-P-119

[I-P-118] 周術期に重症心筋虚血を呈した右室依存冠動脈灌流を有する肺動脈閉鎖/正常心室中隔

打田 裕明1, 本橋 宜和1, 島田 亮1,2, 小澤 英樹1,2, 小田中 豊3, 尾崎 智康3, 岸 勘太3, 片山 博視3, 勝間田 敬弘2, 根本 慎太郎1 (1.大阪医科大学附属病院 小児心臓血管外科, 2.大阪医科大学附属病院 心臓血管外科, 3.大阪医科大学附属病院 小児科)

Keywords:肺動脈閉鎖, ECMO, 類洞交通

【背景】Fontan truckに至る右室依存冠動脈灌流を有する肺動脈閉鎖/正常心室中隔(PA/IVS)の予後は著しく不良であり胎児診断からの計画的治療の発達した今日でも治療困難な領域である。今回、周術期に重症心筋虚血イベントを発生した症例を経験し、文献的考察を加えた。【症例】症例1:胎児エコーで著しい右室冠動脈類洞を有するPA/IVSと診断された女児。在胎37週6日、2370g、Apgar score8/9で出生した。出生31日目のBTシャント術中にVT/VF stormからのPEAに至ったため、ECMO補助下に手術を完遂し、3日目に離脱した。退院後は低左心機能が遷延し、冠動脈造影検査では左前下行枝全領域の順行性冠潅流が欠如していた。生後8カ月時に両方向性グレン及び心房間交通拡大に到達し、PDE5阻害薬+ACE阻害薬+β遮断薬を導入し経過観察中である。症例2:胎児エコーで肺動脈閉鎖を指摘された男児。在胎週数38週2日、3268g、Apgar score 9/9で出生した。明らかな冠動脈類洞交通を認めなかった。生後34日目に、BTシャント+肺動脈形成術施行。ICU入室後に重症心機能低下からショック・心停止となりECMOが導入された。ECMO離脱は不可能であり、ECMO導入24日目に左心室全領域での収縮低下とtetheringによる高度僧帽弁逆流に対して全周性DeVega法による僧帽弁輪縫縮を施行した。心機能の改善が得られないため両親にコンセントを頂戴し31日目にECMOを離脱するも、その2日後に死亡した。病理解剖:右室流出路は筋性閉鎖で、全左室心筋の梗塞と乳頭筋の繊維化を認め、左右冠動脈は存在せず、conus branchの開口のみを認めた。【考察】極度の右室依存冠動脈灌流有するPA/IVSの第一期姑息術では、致死的な重症心筋虚血イベントを阻止すべく積極的な補助循環による心筋虚血防止が肝要であり、早期から心移植のオプションも考慮することが必要であると考えられた。