第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-18 川崎病・冠動脈・血管

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川崎病・冠動脈・血管①

Thu. Jul 16, 2015 5:20 PM - 5:56 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:小林 徹 (国立成育医療研究センター臨床研究開発センター)

I-P-120~I-P-125

[I-P-121] 川崎病ハイリスク症例に対する急性期ステロイド併用療法の有効性と安全性

吉兼 由佳子, 橋本 淳一, 廣瀬 伸一 (福岡大学医学部 小児科)

Keywords:川崎病, 不応予測スコア, ステロイド

【背景】 免疫グロブリン大量療法(IVIG)不応予測スコアは群馬、久留米、大阪の三つがよく知られており、2012年に改定された川崎病急性期治療ガイドラインでは、スコアの基準値を超えるハイリスク症例に対する初期治療としてステロイド併用療法が奨励されている。【目的】二つ以上のスコアで基準値を満たすハイリスク症例において、急性期ステロイド併用療法の有効性と安全性を評価すること。【方法】対象は2009年から2014年に当院に入院した川崎病症例のうち、二つ以上のIVIG不応予測スコアで基準値を超えた56例。そのうちステロイド+IVIGで治療した群をS群(23例)、IVIG単独で治療した群をN群(33例)とした。ステロイド併用療法の方法は、メチルプレドニゾロン30mg/kg後、IVIG 2g/kgを投与し、プレドニゾロン2mg/kgで後療法を行い、2-3日毎に減量中止した。両群の追加治療の有無、臨床経過、副作用を比較検討した。【結果】二つのスコアで基準値を超えたハイリスク症例において、S群の追加治療必要例はN群に比し有意に少なかった(13% 1/8 vs. 38% 8/21)。一方、三つの不応予測スコア全て基準値を超えた超ハイリスク症例では、S群とN群の追加治療必要例に有意差はなかった(47% 7/15 vs. 46% 6/13)。しかし発症2ヶ月目まで冠動脈拡大が残存した例はS群で有意に少なかった( 0% 0/15 vs. 30% 6/18)。また副作用に関して、S群はN群に比し、低体温が目立った (35.5℃ vs. 36.2℃)。これは治療開始2日間のアスピリン投与を控えることで回避できた (36.4℃)。【考察】ハイリスク症例においてステロイド併用療法は有用であり、全ての不応予測スコアで基準値を超える超ハイリスク症例でも冠動脈拡大を抑えられる。副作用と思われる低体温は治療開始2日間のアスピリン投与を控えることで回避できる。