[I-P-124] 川崎病急性期におけるIVIG施行前後の血清IgG値と治療効果の検討
Keywords:免疫グロブリン大量療法, 血清IgG値, 川崎病急性期
【背景】川崎病急性期治療としての免疫グロブリン大量療法(IVIG)の有効性は用量依存性が指摘されており、血清IgG値と治療の反応性が注目されてきた。IVIG前後における血清IgG値の上昇不良を予後不良の指標とする報告もあるが、一定の見解は得られていない。【目的】川崎病急性期の初回IVIGにおける血清IgG値の変化と治療反応性の関係を検討した。【方法】2008年2月から2014年10月まで当科に入院した76例の川崎病について検討した。川崎病急性期治療のガイドラインに従い初期治療はIVIG 2g/kgを用いた。IVIG施行前後の血清IgG値の差から変化量を求めた。【結果】IVIG反応例56例(IVIG反応群)、不応例20例(IVIG不応群)であり両群に年齢的な有意差はなかった。初回投与前のIgG値は年齢とともに増加していた。IVIG後のIgG値は投与前の値に依存し増加を認め平均は2744±410mg/dl であった。IgGの上昇量は平均2050±372mg/dlで体格や年齢に依存せず一定の値を示した。IVIG施行後の血清IgG値、IgG上昇量とも両群間で有意差は認めなかった。【考察】過去の報告ではIVIG後のIgGの変化がIVIG不応の予測因子となるとの意見があった。しかし今回のようにIVIG後のIgG値が一定値を超えていた場合の検討においては、IVIG反応群と不応群間ではIVIG投与後の血清IgG値および上昇量の差を認めなかった。IVIG後のIgG値が一定値を超えていた場合は、IgGの上昇変化に関わらず治療効果がある可能性が考えられた。IVIG施行前に反応群であることが予測されれば、初回IVIG後の目標IgG値を設定し、IVIG施行前のIgG値からIVIGの投与量を決定することで、IVIGの投与量を最小限にし、副作用やリスクを減少させることも今後の治療選択肢の1つと成り得るのではないかと考えた。【結語】IVIG後のIgG値が一定値以上を示す場合においては、IgGの上昇変化は治療反応性に明らかな影響を与えない可能性が考えられた。