第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-18 川崎病・冠動脈・血管

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川崎病・冠動脈・血管①

Thu. Jul 16, 2015 5:20 PM - 5:56 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:小林 徹 (国立成育医療研究センター臨床研究開発センター)

I-P-120~I-P-125

[I-P-125] 川崎病に対する初回単独免疫グロブリン療法の有用性

中田 利正 (青森県立中央病院 小児科)

Keywords:Kawasaki disease, coronary artery disease, immunoglobulin therapy

【背景】川崎病重症冠動脈病変(CAL)予防に有用な初回急性期治療法は確立されていない。【目的】初回単独免疫グロブリン療法(IVIG)の有用性の検証。【方法】当科で1999年~2014年に川崎病急性期治療としてIVIGを受けた200例を対象として後方視的に検討した。この期間は全例が初回治療をアスピリン(A)、フルルビプロフェン(F)以外の薬剤併用なしの単独IVIGで受けていた。IVIGは可能であれば、5病日に2g/kg/日の1日間投与を行った。2004年以降に発症した症例のうち、129例(S群)はA、FをIVIG終了後に開始した。【結果】IVIG 2g/kg/日は194例に施行されていた。初回IVIG 開始病日は中央値5(3-16)病日であった。初回IVIG不応例は25%、追加IVIGは8%(16例;初回IVIG不応に対し13例、再燃に対し3例)に施行されていた。3次治療として4例がウリナスタチン投与、1例(群馬スコアー8点の症例)が血漿交換療法を受けた。CAL頻度は29病日までが7%、30病日以降が3%(5例)であった。S群vs S群以外のCAL頻度は、29病日まで、30病日以降で、各々、2/129 vs 11/71(P<0.001)、1/129 vs 4/71(P=0.055)であった。冠動脈最大内径は4.8mmであったが、冠動脈後遺症を合併した5例全例でCALは退縮した。冠動脈後遺症残存の背景因子は初回2g/kg/日治療例で、不応による発熱持続2例、再燃1例、反応例1例であった。【考察】初回単独IVIG治療例に6mm以上の重症CAL後遺症残存例はなく、低い追加治療頻度、4g/kgまでの免疫グロブリンで97.5%の症例が治療可能であったことから、初回単独IVIGは重症CAL予防に有用であると考えられた。冠動脈後遺症残存の背景因子として再燃例、IVIG反応例も含まれていたが、群馬スコアー高値例と同様に、このような症例にも初回単独IVIGは有用である可能性が示唆された。【結論】単独IVIG、特にA,FのIVIG終了後投与開始は、重症CAL予防を目的とした川崎病急性期初回治療法として有用であることが示唆された。