第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-18 川崎病・冠動脈・血管

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川崎病・冠動脈・血管②

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:岩佐 充二 (名古屋第二赤十字病院)

I-P-126~I-P-130

[I-P-127] カンジダ菌体抽出物の経口投与による川崎病類似血管炎誘発実験

大原関 利章1, 横内 幸1, 榎本 泰典1, 山田 仁美1, 三浦 典子2, 大野 尚仁2, 佐地 勉3, 高橋 啓1 (1.東邦大学医療センター大橋病院 病理診断科, 2.東京薬科大学薬学部 免疫学教室, 3.東邦大学医療センター大森病院 小児科)

Keywords:川崎病, 血管炎, カンジダ

【背景・目的】川崎病は血管炎症候群に含まれる小児の急性熱性疾患である。病因はいまだ不明であるが、腸内フローラが関与するとの報告が散見される。一方、我々はカンジダ・アルビカンスの培養上清中に溶出してくる細胞壁由来糖タンパク(CAWS)を用いた川崎病類似マウス系統的血管炎誘発実験を続けている。常法ではCAWSを腹腔内に連続接種することで血管炎を惹起するが、カンジダは消化管や口腔の常在菌のひとつであることから、CAWSの経口投与による血管炎誘発活性について検討することは重要と考えられる。今回はCAWSを経口投与した際の血管炎誘発活性について検討した。【材料・方法】4週齢、雄のDBA/2を使用した。経口ゾンデを用いてCAWSを4週間連続投与した。連続投与終了1週後にマウスを屠殺して血管炎の有無を組織学的に確認した。実験群は以下の通りである。A群:LPS前処置(+)、CAWS 800μg/回、B群: LPS前処置(-)、CAWS 800μg/回、C群: :LPSの前処置(+)、CAWS 250μg/回。LPSは20μgをPBSに溶解してCAWS接種前日に腹腔内接種した。CAWS250μgを腹腔内に5日間連続接種した群を対照群とした。【成績】各群の汎血管炎発生率は、対照群:3/3、A群:1/6、B群:0/6、C群:1/6であった。A群、C群の血管炎は好中球や組織球主体の炎症であり、対照群との間に明らかな組織学的差異はなかった。【まとめ】発生率は低かったが、CAWSの経口投与により汎血管炎が惹起し得ることが確認できた。本モデルは血管炎と腸管免疫との関連について検討するための適切なモデルになり得る可能性がある。腸管粘膜に浸潤する炎症細胞のレパートリ―等について現在、検討中であり、これらの結果についても紹介したい。