第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-18 川崎病・冠動脈・血管

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川崎病・冠動脈・血管②

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:岩佐 充二 (名古屋第二赤十字病院)

I-P-126~I-P-130

[I-P-129] 虫垂炎を合併した川崎病の1例

川村 陽一1, 金井 貴志1, 辻田 由喜1, 吉田 裕輔1, 竹下 誠一郎2, 野々山 恵章1 (1.防衛医科大学校 小児科, 2.防衛医科大学校 看護学科)

Keywords:川崎病, 虫垂炎, 画像診断

【症例】5歳、男児 【主訴】発熱、腹痛【現病歴】入院7日前から発熱、嘔吐、腹痛を認め、以後も発熱と腹痛が持続した。入院当日に近医を受診し、白血球増多や腹部の圧痛から虫垂炎を疑われ、紹介入院となった。【身体所見】体温39.2度、眼球結膜充血、イチゴ舌、頸部リンパ節腫脹、体幹の紅斑を認めた他、右下腹部に圧痛あり。【検査所見】T-Bil 1.4mg/dl, AST 28IU/L, ALT 32IU/L, TP 5.1g/dl, Alb 2.4g/dl, Na 123mEq/L, CRP 19.1mg/dl, WBC 22700/μl(N 93.1%), Hb 12.4g/dl, Ht 34%, Plt 24.8万/μl【画像所見】腹部単純写真では小腸ガスが散在し、腹部CTでは胆嚢腫大の他、虫垂末端を主体とした壁の肥厚を認めた。【経過】虫垂炎を合併した川崎病と診断し、抗菌薬(CMZ)の投与に加えてアスピリン内服、ウリナスタチン静注、ガンマグロブリン投与を併用した。その結果、9病日以降は解熱し、腹部の圧痛や自発痛も消褪していった。13病日には手指の膜様落屑が出現し、15病日に軽快退院となった。外科治療を回避できたことに加え、経過中の心エコー検査では冠動脈病変を認めなかった。【考察】川崎病に合併する腹部症状にはイレウスや肝機能障害が知られているが、虫垂炎の合併は比較的まれと考えられる。近年、腸内細菌叢が川崎病の血管炎の病態に関与していることを示唆する報告もあり、川崎病の発症機序を考える上でも興味深い。一方、虫垂炎を合併した川崎病については、従来の報告例ではいずれも外科治療が行われていたものの、病理所見から手術適応ありと判断されたのはそのうちの4分の1程度にすぎない。したがって、虫垂炎の合併が疑われる症例であっても、画像診断で適切に評価することにより、手術を回避できる症例が含まれる可能性が示唆された。