第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-18 川崎病・冠動脈・血管

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川崎病・冠動脈・血管②

Thu. Jul 16, 2015 4:50 PM - 5:20 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:岩佐 充二 (名古屋第二赤十字病院)

I-P-126~I-P-130

[I-P-130] サイトカインプロファイリングが鑑別に有用であった関節痛を伴う川崎病の2例

橋本 佳亮, 竹下 輝, 渡邉 誠, 深澤 隆治, 小川 俊一 (日本医科大学医学部 小児科)

Keywords:川崎病, サイトカインプロファイリング, 全身型若年性特発性関節炎

【背景】川崎病は高サイトカイン血症を呈し、多彩な臨床症状が認められる。中でも関節炎症状を呈する場合は、全身型若年性特発性関節炎(以下、sJIA)や自己免疫性疾患との鑑別が困難なことがある。今回その鑑別診断にあたり、サイトカインプロファイリングが有用であった2例を経験したので報告する。【症例1】3歳男児、発熱4日目に入院となった。川崎病主要症状6/6、群馬スコア9点のため、IVIG, PSLにて急性期治療を開始し一時的に解熱を認めた。しかし第7病日に再発熱、infliximab, CyA, UTI治療にも抵抗した。第13病日より両側足関節痛、その後股関節・膝関節・肩関節・手関節痛、またPIP関節背側の発赤、軽度腫脹が出現した。第15病日に解熱したが関節痛と血液炎症所見は遷延した。第18病日に測定したサイトカインプロファイリングではIL-18に比しIL-6が有意に上昇していた。その後関節症状は消失し退院となり、退院後は症状の再燃は認めていない。なお、冠動脈病変は認められていない。【症例2】1歳10か月男児、発熱6日目で入院、川崎病主要症状5/6、群馬大スコア1点であった。IVIGにて治療開始したが、発熱持続、mPSL half pulse, CyA, UTIの追加治療を漸次行い第26病日に解熱を認めた。経過中関節痛を訴えたが、第12病日に測定したサイトカインプロファイリングではIL-18に比しIL-6の有意な上昇を認めた。その後関節痛は改善し退院となり、退院後も症状の再燃は認めていない。なお、冠動脈病変は認められていない。【考察】経験した2例とも難治性の川崎病であり、sJIAとの鑑別に難渋したが、退院後の症状再燃は出現していない。川崎病、sJIAともに高サイトカイン血症を呈する疾患であるが、サイトカインの発現パターンを解析することはそれらの疾患の鑑別に有用であると考えられた。