[I-P-131] 成人期川崎病のCT所見
キーワード:川崎病, MD-CT, 冠動脈病変退縮
【背景】急性期以降に川崎病冠動脈病変が退縮した患者の成人期の冠動脈は明らかになっていない。また、遠隔期の川崎病冠動脈病変と粥状硬化合併に検討を要する。【目的】成人期川崎病既往冠動脈評価としてCT検査(MD-CT)を行い、急性期重症度分類所見、高脂血症、肥満、喫煙との関連を検討する。【方法】2000年から2014年にMD-CTを実施した川崎病既往成人31例を対象とした。急性期冠動脈病変評価は、実施なし13例、巨大冠動脈瘤9例、冠動脈瘤5例、冠動脈拡張2例、異常なし1例である。【結果】脂質異常は1例で内服加療。肥満は3例、喫煙率6.8%(男性)であった。経過中エコー検査などで正常化と診断した10例のうち、急性期検査なしの1例と急性期巨大瘤とした1例でMD-CTにて冠動脈瘤と診断し内服を再開した。急性期正常とされた1例でMD-CTにて石灰化を認めた。急性期検査なく遠隔期に拡張とした1例と遠隔期正常化した1例、拡張後改善した1例の計3例に石灰化とプラークを認めたが、いずれも脂質異常や喫煙はない。急性期、あるいは急性期に心エコーが未実施であり遠隔期エコーで巨大瘤と診断した14例中退縮した1例は内服中止したが、成人期のMD-CTで壁不整と石灰化が出現、内服を再開した。カテーテル検査で冠動脈正常化した1例は石灰化のみが残存している。巨大瘤の遠隔期石灰化は93%である。心イベントのあった3例中1例が喫煙歴、1例は肥満である。1例は急性期検査のない初回検査が拡張のみの例であった。【結論】川崎病既往成人はJT全国喫煙率調査での20歳代29.4%、30歳代36.6%と比し喫煙率は低い。脂質異常も1例であり、川崎病心血管後遺症の診断と治療ガイドラインでの禁煙と脂質摂取の留意が啓蒙されている。しかし、冠動脈病変退縮例で石灰化と冠動脈プラークの出現を認め、巨大瘤例のみではなく、経過観察ドロップアウトを防ぐべきである。