[I-P-133] MR coronary vessel wall imaging による川崎病冠動脈病変の経時的変化ー光干渉断層法との比較ー
Keywords:Kawasaki disease, MR coronary vessel wall imaging, Optical Coherence Tomography
【背景】川崎病冠動脈瘤、拡大の退縮例では内膜の壁肥厚が存在し、CT、超音波検査による評価は困難と言われている。一方、内膜の評価に有用な血管内超音波(IVUS)、光干渉断層法(OCT)は侵襲的である。【目的】black blood法(BB法)を用いたMR coronary angiography(MRCA)が川崎病冠動脈病変における壁肥厚の経過観察に有用であることを明らかにすること。【方法】2007年4月-2014年12月に当院で川崎病冠動脈病変を有する52症例に対しのべ101回、BB法を用いたMRCAを施行した。うち23例で複数回、のべ72回施行した。この23例のうちCABG、冠動脈ステント留置を行った1例をのぞいた22例について、MRCA所見の経時的変化を検討した。また、2例でMRI施行と同時期にOCTを用い冠動脈病変を観察した。この2例についてMRCA所見とOCT所見を比較した。【結果】内訳は男15例、女7例で、初回MRCA(BB法を用いたものと定義する)施行まで川崎病発症から平均2年10か月が経過していた。初回MRI施行時の年齢は平均5.5歳、撮像回数は平均3.1回、初回MRCA施行からの経過観察期間は平均3年5か月だった。全例で川崎病発症後に冠動脈瘤または拡大を認めた。初回MRCA撮像時に冠動脈瘤、拡大を有した症例は19例だった。これらの症例はすべてBB法にて壁肥厚の所見を認めた。このうち9例は自然消退したが壁肥厚の所見も消失したのは3例だった。初回MRCA施行時に冠動脈瘤、拡大はなく壁肥厚のみを示したのは2例だった。このうち1例は後に壁肥厚の所見が消失した。経過観察中に狭窄を認めたのは5例だった。OCTを施行した2例ではBB法で壁肥厚を認めた部位に内膜の線維性肥厚を示唆する所見を認めた。【結論】BB法を用いたMRCAは川崎病冠動脈瘤、拡大が退縮した症例において、壁肥厚の経過観察に有用である。遠隔期の血管病変については不明な点が多く、長期間の経過観察と症例の蓄積が必要と思われた。