[I-P-135] 当科における川崎病後冠動脈瘤症例についての検討
Keywords:川崎病後冠動脈瘤, 長期予後, 冠血行再建術
【目的】当科における川崎病後冠動脈瘤症例の遠隔期予後について検討する。【対象と方法】対象は、1986年4月から2014年12月の間に当科を受診した川崎病後冠動脈瘤症例(冠動脈径5mm以上)のうち、発症から3年以上観察可能であった15例(男:12例、女:3例)で、臨床経過と予後について後方視的に検討した。【結果】発症年齢中央値:2歳(2ヶ月~7歳)、観察期間中央値:12年(3~27年)。14例が初回IVIGに不応で追加治療(IVIG:14例、ステロイド:6例、シクロスポリン:2例)を要した。冠動脈病変は、冠動脈瘤(As:≧5mm,<8mm):5例、巨大冠動脈瘤(GAs:≧8mm):10例で、病変部位は、両側:11例(右冠動脈RCA:11例、左前下行枝LAD:10例、左回旋枝LCX:4例)、右のみ:3例、左のみ(LAD):1例であった。全例で抗凝固療法(アスピリン:全例、ワルファリン:11例)が施行され、1例に心機能低下を認めβ遮断薬を導入した。完全閉塞は、RCA:5例、LAD:2例、LCX:1例に認め、全例9mm以上のGAsであった。閉塞の確認時期は、RCAが発症後2年以内とLAD&LCA(発症後:6~11年)と比較して早い傾向にあった。狭窄(50%以上)は、GAs:8例(RCA:2例、LAD:3例、LCX:3例)、As:2例(RCA:2例)に認め、全例6mm以上であった。6mm未満では完全閉塞や狭窄(50%以上)は認めなかった。冠血行再建術は5例に施行され、全例GAsであった。冠動脈バイパス手術:3例(施行時年齢:16歳、17歳、18歳)、カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術、ロタブレーター):2例(施行時年齢:2歳、13歳)で、治療までの期間は中央値:12年(2~16年)であった。1例に心筋梗塞を認めたが死亡例はなかった。【結語】冠動脈瘤合併例(特に6mm以上)では、狭窄病変の進行及び閉塞のリスクが高く、心イベント発生に注意しながら慎重に経過観察するとともに、巨大冠動脈瘤合併例では冠血行再建術も念頭に置く必要がある。