[I-P-137] 当院における小児ペースメーカー植え込み術の中期成績
Keywords:pacemaker implantation, sick sinus syndrome, far field sensing
(背景)小児ペースメーカー移植術(PMI)は、体格が小さいため心外膜リードを使用するが、当院では各症例に応じて、胸骨正中切開あるいは左開胸で施行し、generatorは腹直筋後鞘前面あるいは低体重児には腹腔内へ留置してきた。(目的)中期成績から見た両術式を比較検討すること。(対象と方法)1998年1月から2014年12月まで、心外膜リードを使用しPMIを施行した25例(男:女=11:14)を対象とした。内訳は、開心術後洞機能不全および完全房室ブロック12例、isomerism heart 4例、cTGA 2例、心内病変なしが7例であった。手術方法により胸骨正中切開11例をM群、左開胸14例をL群にわけ、手術成績、術後合併症の有無、最小エネルギー閾値(ET)を術直後、最終PM ckeck(PMC)時に算出し、両群間で比較検討した。(結果)手術時年齢、体重は中央値3歳(1か月-12歳)、12kg(3.1-40kg)で、follow up期間は平均4.3年であった。リード不全に関してM群はなく、L群ではリード断線3例(21%)あり、1例は術後2か月で左開胸による再手術を施行、1例は術後4.9年で頸静脈approachへ変更している。また残る1例は、術後1.4年でリード断線を認めるものの洞調律に回復しgeneratorを除去した。術後リード感染はL群はなく、M群で3例(27%)認めうち2例はgenerator交換時に感染し、リードならびにgenerator再留置を行い、残る1例は一旦リードならびにgeneratorを除去し、左胸腔内へ再留置した。術後far field sensingをM群1例(1%)、L群3例(21%)に認めた。術直後、最終PMC時のET(μJ)は術直後(M:L=0.7±0.3:0.64±0.37, P=0.592)、最終PMC時(M:L=0.38±0.21: 0.38±0.21, P=0.97)と両群間に差はなし。最後に、generator 留置部に関する合併症は認めなかった。(まとめ)各症例において両術式を併用し、PMIを行ってきたが両術式間での有意差は認めず、今後心外膜リードを使用する際のfar field sensingへの対策は必要と考えられた。