[I-P-141] 小児のペースメーカー植え込みにおける単極心外膜電極の中長期予後
Keywords:単極心外膜ペーシングリード, ペースメーカー, 心筋電極
【背景】小児のペースメーカー植え込み(PMI)においては体格が小さいなどの理由で心外膜リードを使用されることが多い。その際に当院では断線時に修復可能であるというメリットを理由に単極心外膜電極が用いられることが多かった。しかし実際のメリットがあるかは明らかではない。【目的】単極誘導心筋電極の断線および修復による再開胸回避の実態を明らかにする。【方法】カルテ・手術記録を用いた後方視的研究【結果】1990年1月1日以降60名に対し単極心筋電極を用いたPMIが施行された。原疾患は左側相同(LAI)が最も多く12名(20%)で、以下右側相同(RAI)5名(8.3%),cTGA5名(8.3%),SV,先天性房室ブロック4名(6.7%),DORV,AVSD,HLHS,TA,ToF3名(5%),IAA,CSD,接合部調律2名(3.3%),ARVC,ASD,心筋炎,CoA,QT延長症候群,PAIVS,PAVSDが1名(1.7%)であった。植え込み時の年齢は中間値38.6ヶ月(範囲:9日~22年)その間に使用された単極心筋電極は心房電極が64本、心室電極が47本であった。観察期間の中央値13.4年(0.4年~30.1年)。リード破損は23イベント(心房15心室8)同定された。全リード破損までの期間は中央値5.6年(0.5~15.6)で破損時の年齢は中央値11.5歳(4.1-23.6)であった。開胸によるリード入れ替えは10イベント(心房8心室2)で、13イベント(56%)は再開胸を回避された。カプラン・マイヤー法による心房、心室、および全リードの10年無破損率は69.6%(95%CI56.1-86.3),72.4%(56.7-92.5),70.4%(59.7-83)であった。【考察】2014年のLauらの報告(HeartRhythm 2014)の双極心外膜リードについての報告(10年生存率心房72%心室60%)と比して、単極心外膜リードの無破損率は劣っているわけではない。植え込み時の状況によっては双極心外膜電極を縫着するスペースがない場合や高閾値のため双極を植え込めないこともあるため、単極誘導心筋電極による植え込みは充分メリットがあると考えられた。