[I-P-145] 年長児と成人の負荷心電図におけるジャンプテストの有用性
キーワード:負荷心電図, ジャンプテスト, トリプルマスター
【背景】負荷心電図は運動時の不整脈評価に必須であるが、十分な心拍数上昇が必要である。ジャンプテストは年少児からも可能で負荷量はダブルマスターより大きいとされる。年長児ではトリプルマスターでも十分な心拍数上昇が得られないことも多く、ジャンプテストの方が負荷量が大きい可能性がある。【対象】ジャンプテストを行った222名(3-4歳12名、5-9歳72名、10-14歳85名、15-19歳48名、20歳以上5名)。トリプルマスターを行った174名(8-9歳7名、10-14歳116名、15-19歳47名、20歳以上4名)。【方法】ジャンプテストは任意のテンポでその場跳びを2分間行い、終了直後の心電図を記録した。各年齢、各負荷方法で前後の心拍数変化を比較検討した。【結果】ジャンプテスト、トリプルマスターともに各年齢で有意な心拍数の増加が得られた。増加量はジャンプテストで5歳以上から年齢と共に増加したが(3-4歳22.4/分、5-9歳22.8、10-14歳31.8、15-19歳48.6、20歳以上54.6)、トリプルマスターでは19歳までほぼ一定(8-9歳19.6、10-14歳15.4、15-19歳18.0)で、20歳以上で増加(30.8)した。増加率はジャンプテストでは年齢と共に増加したが(3-4歳24.5%、5-9歳29.7%、10-14歳46.6%)、15歳以上で一定(15-19歳72.3%、20歳以上72.1%)となった。トリプルマスターでは19歳まで一定で(8-9歳25.4%、10-14歳22.0%、15-19歳25.5%)、20歳以上で増加(42.0%)した。ジャンプテストとトリプルマスターの比較では、増加量と増加率共に、5-9歳では有意差はないが(p=0.58)、10歳以上の各年齢群で有意にジャンプテストの方が大きかった(いずれもp<0.05)。【考察】ジャンプテストでは年齢と共に心拍数の増加量及び増加率が大きくなる。また、10歳以上からはトリプルマスターと比較して心拍数の増加量及び増加率ともに有意に大きい。ジャンプテストは10歳以上から成人に至るまで、トリプルマスターよりも負荷量が多く、簡便で有用な運動負荷法である。