第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-19 学校保健・疫学・心血管危険因子

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学校検診②

Thu. Jul 16, 2015 5:20 PM - 5:44 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:高木 純一 (たかぎ小児科・心臓小児科)

I-P-147~I-P-150

[I-P-147] 学校心臓検診における心房中隔欠損診断に有用な心電図所見

中田 利正 (青森県立中央病院 小児科)

Keywords:atrial septal defect, electrocardiogram, screening

【背景】学校心臓検診における心房中隔欠損(ASD)診断には、右脚ブロック(RBB)のみでは限界があり、crochetage pattern(CR)などの組み合わせが有用であることが報告されてきた。【目的】学校心臓検診におけるASD診断に有用な心電図所見を明らかにすること。【方法】 当科で2008年月~2013年に診療した学校心臓検診要精査対象者のうち、71例を対象とし、後方視的に検討した。閉鎖適応のあるASDが新たに診断された10例をASD群、基礎心疾患がなくRBB所見を有した61例を対照群とした。RBBはV1誘導所見でrSR’型とRsr'型に分類した。QRS<0.12secを不完全RBBとし,下壁誘導のR波(下降脚を含む)にnotchを認めた場合をCR陽性とした。【結果】ASD診断時年齢は小学校1年時8例、中学校1年時2例であった。ASD群vs 対照群の性比(男/女)は6/4 vs 42/19、診断時年齢(歳)の中央値は7 (6-14) vs 12 (6-15)でともに有意差はなかった。不完全RBB、V1QRS波パターン、下壁誘導におけるCRの有無と数、V4誘導の陰性T波(NT)の有無、右軸偏位の有無を両群間(ASD群 vs 対照群)で比較検討した。有意差が認められたのは、NTの頻度(70% vs 0%, P<0.001)のみであった。下壁誘導すべてにCRが認められた(3CR)頻度に有意差はなかった(60% vs 26%, P=0.06)。V1rSR’の頻度も有意差がなかった(70% vs 80%)。RBBにNT,3CR、右軸偏位を組み合わせたASD診断感度は、各々、70%、60%、50%で、特異度は、各々、100%、74%、62%であった。【考察】CRは加齢に伴い,増加する所見であることが指摘されている。対象を学校心臓検診要精検小中学生に限定した今回の結果では、RBBに組み合わせる心電図所見としては、CRよりもNTがより有用であると考えられた。【結論】学校心臓検診におけるASD診断のために、RBBに組み合わせる心電図所見としては、NTが有用であることが示唆された。