[I-P-152] パルスドプラーを用いた下行大動脈血流VTI測定によるQp/Qsの推定
キーワード:BT shunt, pulmonary atresia, pulse doppler
【背景】チアノーゼ性心疾患に対する体肺動脈短絡手術では、術後急性期に肺血流過多によるsystemic low outputに陥ることがある。グラフトの経路やサイズ選択・クリップなどによる流量の調整により、至適な肺血流量の確保に努めるが、術後急性期には手術侵襲や人工心肺の影響による換気不良などから、動脈血酸素飽和度の値のみでは肺血流の多寡を推定することは困難であることが多い。ベッドサイドで簡便に、繰り返しリアルタイムに評価できる検査方法が望まれる。【目的】経胸壁心エコーによる、パルスドプラーを用いた下行大動脈血流VTI測定が、Qp/Qsの推定に有用であるかどうかを検討すること。【対象】肺動脈閉鎖の診断のもとBT shunt術が施行された症例で、2013年8月以降に心臓カテーテル検査を行った13症例。【方法】カテーテル検査の前日に施行した経胸壁心エコーによる横隔膜レベルの下行大動脈のパルスドプラーから、収縮期の順行性血流および拡張期逆行性血流のVTI(連続3心拍の平均)を計測し、その比率(dAo-VTIR)を求め、カテーテル検査で計測したQp/Qsとの相関関係を調べた。【結果】dAo-VTIR, Qp/Qsはそれぞれ0.28-0.47中央値0.38, 0.52-1.3中央値1.1で、有意な相関関係を認め(P=0.039 R=0.58) 、Qp/Qs=2.2*(dAo-VTIR)+0.15 で近似された。【考察】今回求めた近似式を用いることで、心エコーの評価で短絡血流の評価がある程度可能と考える。当院の心臓血管外科のstudyで、BT shunt術後急性期のdAo-VTIR 0.8以上が高肺血流による心不全やショックのイベントの有意なリスク因子であったと報告されており、近似式から計算されるQp/Qsはおよそ2以上となり、術後急性期にはcriticalな高肺血流状態と考えられる。【結語】パルスドプラーを用いた下行大動脈血流VTI測定はQp/Qsの推定に有用である。低侵襲で簡便に繰り返しベッドサイドで評価でき、短絡手術後急性期の肺血流量の評価方法として有用であると考えた。