第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

1-09 集中治療・周術期管理

ポスター
周術期:評価

2015年7月16日(木) 16:50 〜 17:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:富松 宏文 (東京女子医科大学)

I-P-151~I-P-155

[I-P-155] フォンタン手術術後のエスクロンミ二による非侵襲的心拍出量測定 :右心系単心室と左心系単心室の違い

吉竹 修一1, 田中 佑貴1, 内藤 祐次1, 中島 公子2, 田中 健佑2, 石井 陽一郎2, 池田 健太郎2, 小林 富男2, 宮本 隆司1 (1.群馬県立小児医療センター 心臓外科, 2.群馬県立小児医療センター 循環器科)

キーワード:周術期管理, 小児心臓外科, フォンタン

目的:電気的速度測定法は熱希釈法や、心エコーによる心拍出量とよく相関する事が知られている。今回、フォンタン手術を施行した単心室の心機能をエスクロンミニで評価し、右心系単心室と左心系単心室の差異を比較した。
方法: 2011年から2014年の症例のうち、フォンタン手術を行った26例を対象とし、左心系単心室(SLV)と右心系単心室(SRV)に分類してretrospectiveに解析した。術前のカテーテルデータ、PICUでの血圧、カテコラミン量、エスクロンミニから採集した血行動態データ(heart rate(HR), stroke volume(SV), cardiac output(CO), cardiac index(CI), stroke volume variation(SVV), ventricle ejection time(VET))を比較検討項目とした。
結果:SLVは18例、SRVは8例であった。両群間の患者背景に有意差は認めなかった。疾患の内訳は以下の通りである。SLVはDORV 22.2%, DILV 22.2%, TA 22.2%, PA/IVS 11.1%, unbalanced AVSD 11.1%, ccTGA 5.5%, severe TS 5.5%であった。一方SRVは、Asplenia 37.5%, HLHS 37.5%, DORV 12.5%, uAVSD 12.5%であった。術前のカテーテルデータ、周術期のカテコラミン量、血圧、脈拍など両群間で差を認めなかった。血行動態データは以下のようになった。(SLV vs SRV); HR: 124.0±18.4/min vs 139.4±12.0/min, SV: 19.3±7.6ml vs 14.7±3.8ml, CO: 2.3±0.8L/min vs 2.0±0.5L/min, CI: 4.5±1.1L/min/m2 vs 4.4±1.2L/min/m2, SVV: 13.4±2.6% vs 15.6±0.9%, and VET: 192.0±25.1sec vs 169.1±22.8secで、HRとVETで統計学的有意差を認めた。(p<0.05)
結論:CIはSRV, SLVで統計学的有意差を認めなかった。VETはSRV群でSLV群よりも有意に短く、HRはSRV群の方がSLV群よりも有意に高かった。これは右心系単心室が短いVETをHRで代償している可能性があるのではないかと思われた。エスクロンミニは小児心臓外科領域では比較的報告例がまだ少なく、自験例を中心に報告する。