[I-P-161] 当院における高位上大静脈還流型部分肺静脈還流異常症に対する手術戦略
キーワード:PAPVC, Warden, ASD
【目的】当院では上大静脈(SVC)に高位に開口する部分肺静脈還流異常(PAPVC)に対しWarden法に準じた方法を施行してきた。当院での適応は基本的にPVのSVC流入部上端(PVU)からSVC-RA junction(SRJ)の距離をもとに判断している。今回対象患者と手術戦略、成績に関して検討した。【対象】2000/12月から2014/2月に加療したSVC還流型PAPVC 38例中Warden法に準じて修復した16例。手術年齢中央値は7.9歳(1-41歳)、手術時体重中央値24.9kg(8.5-72.8kg)、心房中隔欠損(ASD)合併を13例(sinus venosus type 7例、central type 6例)に認め、PAPVRは右上PV単独が10例、右上PVと右中PVが5例、右上PVと左上PVが1例、右胸心を1例、開心術既往を1例に認めた。Warden法を施行しなかった近位上大静脈還流型では1例を除きASD合併を認め全例ASDはsinus venosus typeであった。【結果】PVUとSRJ(P-S)、PVUから主肺動脈頂上部(PAU)(P-P)までの距離の平均値はそれぞれWarden法群で21.7±6.5mm、3.6±6.6mm、その他心内修復群では10±2.8mm、20.9±6.7mm。Warden法群ではPVはASDを介してGoretex patchで左房へreroutingし6例でSVC前面を自己心膜で補填拡大(P-S 21.7±2.4mm P-P -3.9±5.7mm)、1例でSVCをgraftでinterpose(P-S 35.6mm P-P 11.8mm)。1例に三尖弁形成術を併施。平均観察期間4.3±3.4年(0.9-10.5年)で急性期・遠隔期死亡は認めず。観察期間中SVC狭窄やPV狭窄は認めず全例洞調律で経過した。【結語】当院におけるWarden法の手術成績は良好であった。SVC前面を自己心膜で拡大、または人工血管でinterposeするModified Warden法に関してはP-SとP-Pの距離を考慮し、解剖学的にsmoothなrerouteが困難な際や吻合部に張力がかかる例(再手術症例など)で試みる必要があると思われ今後長期的な検討が重要である。またcentral typeのASDは高位型でのみ認めており同typeではPVreroute経路が長くなるため、今後PVO発生に留意する必要があると考える。