第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

2-01 外科治療

ポスター
総肺静脈還流異常 その他

2015年7月16日(木) 16:50 〜 17:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:根本 慎太郎 (大阪医科大学)

I-P-161~I-P-165

[I-P-162] Heterotaxy syndromeを合併したFontan candidateの外科治療成績

前田 吉宣, 山岸 正明, 宮崎 隆子, 山本 裕介, 加藤 伸康, 浅田 聡 (京都府立医科大学小児医療センター 小児心臓血管外科)

キーワード:heterotaxy, Fontan, 外科治療成績

【目的】近年、複雑心奇形に対する治療成績は向上しているがHeterotaxy syndrome(HS)は総肺静脈還流異常症(TAPVR)や房室弁逆流などの危険因子により未だ予後不良な疾患群である。当院におけるHS合併のFontan candidateに対する外科治療成績を検討した。【対象と方法】1997年から2014年までに当院で外科的治療介入した機能的単心室症例(HLHS/HLHS variant症例を除く)175例を対象とし、HS合併のH群65例(37.1%)と非合併のnon-H群110例に分けて比較検討した。H群の内訳は右側相同56例(86.2%)、左側相同9例(13.8%)であった。【結果】全体の死亡率は58例(33.1%)で、H群の死亡率は31例(47.7%)とnon-H群27例(24.5%)に比べて有意に高かった(p=0.003)。死亡例のうち39例(67.2%)が1st palliation術後であり、Glenn術後が13例、Fontan術後が6例(うち5例がH群)であった。Fontan到達率(待機症例を除く)もH群32例(51.6%)、non-H群74例(73.2%)と有意にH群が低かった(p=0.003)。TAPVRの合併は33例に認め、うちH群は31例でTAPVR合併例の死亡率は17例(54.8%)と非常に高かった。Fontan術後遠隔期のカテーテル検査(H群/non-H群)は主心室駆出率:58.3±7.8%/61.2±9.1%(p=0.1565)、中心静脈圧:13.9±3.7mmHg/13.8±3.7mmHg(p=0.5713)、房室弁逆流:1.3±1.1度/0.6±0.8度(p=0.009)、BNP:23.0±12.5 pg/ml/18.6±14.9 pg/ml(p=0.0004)であった。【結語】Heterotaxyを合併する機能的単心室症例のFontan到達後の成績は概ね良好であったがその生存率やFontan到達率は非合併例に比して有意に低く未だ満足すべきものではない。生命予後向上のためには心室容量負荷が軽減されるGlenn手術以前の段階からより慎重な管理が重要と考えられる。