[I-P-164] 心室中隔欠損, 大動脈縮窄を合併した総肺静脈還流異常症の極低出生体重児に対して修復術を施行した1例
Keywords:total anomalous pulmonary, ventricular septal defect, low birth weight
【背景】総肺静脈還流異常 (TAPVC)と心室中隔欠損症(VSD)の合併は稀である。TAPVCにmultiple VSDsと大動脈縮窄(CoA)を合併した極低出生体重児(VLBWI)への修復術を経験したので報告する。【症例】在胎32w5d, 1350g出生のDD twin第2子。出生時よりチアノーゼあったが、当初はperimembranous type VSD, 心房中隔欠損(ASD), 動脈管開存(PDA), 肺高血圧(PH)と診断し、インダシンでPDAは閉鎖。チアノーゼと肺うっ血のため日齢22に挿管。心エコーで上記に加えinfra cardiac type TAPVCとCoAを診断。垂直静脈(VV)と下大静脈合流部に狭窄(2.2mm, 平均圧差28mmHg), PHによりVSD血流はR→L。上行大動脈(AAo)径5.0mm, 腕頭動脈(BCA)径2.6mm, 大動脈峡部径2.2mm。日齢23(修正36w0d), 1875gで準緊急手術。AAo送血・上下大静脈脱血で体外循環を確立、食道温18度の全身循環停止下(全身循環停止18分, 下半身循環停止26分)に拡大大動脈弓吻合法(EAA)で再建。AAo遮断・全身循環再開。左右肺静脈(PV)から共通PVにかけてY型をしており、左右PVから共通PVを切開、左房(LA)を左心耳から心房中隔まで切開し、PV切開部より数mm離れた心膜にLA壁を吻合。VSDはperimembranous trabecurar extensionで計5針でパッチ閉鎖。ASDはLA容積確保のためパッチで閉鎖。体外循環離脱は問題なく手術終了。術後5日目に閉胸、6日目にNO中止。多量の胸腹水排液が2週間持続し、ステロイドパルス等をきっかけとし減少。21日目に抜管、NICU転棟。経過良好に推移したが、退院前エコーにてmuscular type VSDs (Swiss cheese)が確認されフォローアップ中。【考察】TAPVCにmutiple VSDsとCoAを合併したVLBWI症例の修復術。低体重児でBCA細く、AAo送血で体外循環を開始し、EAAは全身循環停止下に施行。細いPVと小さなLAとのずれによるTension回避のためTAPVC repairはprimary sutureless法を選択。術前・術後急性期PHで右室左室等圧のためmuscular VSDs診断は困難であった。