[I-P-171] 二期的動脈スイッチ術後の大動脈弁逆流の検討
キーワード:二期的動脈スイッチ術, 大動脈弁逆流, 肺動脈絞扼術
【題名】二期的動脈スイッチ術後の大動脈弁逆流の検討【背景】大血管転位症(TGA)において,肺動脈絞扼術(PAB)を先行する二期的ASOを行う場合があるが,遠隔期の20 %程度にmoderate以上の新大動脈弁逆流(neo AR)を認めると報告されている.【目的】今回,二期的ASO術後中期遠隔期のneo ARにつき検討した.【対象・方法】1992年以降に二期的ASOを行った16例を対象に病型,二期的ASOの理由,PAB時期及び期間,ASO術後1年及び遠隔期の新大動脈弁輪径(AVD)を検討した.【結果】手術死及び遠隔死なし.ASO術後観察期間は1~18 (中央値10.5 )年.ASO術前のPRはいずれもtrivial以下で,neo ARはmoderate以上なし,mild 2例(12.5 %),他全てtrivial以下であった. 病型はTGA 1型9例,2型4例,TGA型DORV 3例でneoAR mildの2例は各々TGA 1型, 2型であった.二期的ASOの理由は左室トレーニング目的10例(内3例は冠動脈走行異常,他の7例は初期の症例),高肺血流2例,低出生体重3例,他1例で, neo ARの2例はいずれも左室トレーニング目的であった.ASOはLecompte法14例,original Jatene法2例で,11例にPABと同時に体肺動脈短絡術(mBTS)を施行した.冠動脈の移植は13例をpunch outで,3例をtrap doorで行った. PAB施行時月齢は生後0.8~14 (中央値3.9 )ヶ月,PAB期間は0.5~19 (中央値9.1 )ヶ月間. neoARの2例は各々生後4ヶ月目,7ヶ月目にPAB+mBTSを施行,その後いずれも1年以内にLecompte法によりASOを行った.PABの程度は各々75 %と102 %であった.全体のAVDはASO後1年目が133±28.4 % 正常比で中期遠隔期は112.9±16.3 % 正常比であったがneo ARの2例の内1例はAVD 126 %正常比でvalsalva洞の拡大を伴っており,もう1例はAVD 136 %正常比と対象群の内では最大であった.【結語】当院で二期的ASOを行ったTGAのneo ARは16例中mildが2例のみで, neo ARを認めた2例はいずれも生後3ヶ月以降にPABを行っており,大動脈基部の拡大傾向を認めた.